ピュアorビター*side 梨花*-2
「わ……わたる?」
バスケ部の後輩と抱き合う渉。
頭が真っ白になる。
どういうことなの、渉?
公園の入口に立ちつくすあたし。
重い沈黙。
最初に沈黙もやぶったのは渉と抱き合ってたコ。
「すいません渉先輩、こんな遅くまで悩み聞いてもらっちゃって..泣いてちょっとスッキリしました!じゃぁまた明日、部活で!」
渉が相談にのってあげてたってこと?でもそんな雰囲気じゃなかったじゃない……
「あなた確か..渉の部活の後輩の……藍ちゃん?」
「…はい、西山 藍です。ずっと部活で悩んでたことがあって、渉先輩に聞いていただいてたんです。ほんとに..すいません。あたし…帰ります!」
逃げるように走り出す藍ちゃん。
「渉、どういうことか、ちゃんと……」
「待てよ!」
あたしの言葉を遮ったのは渉だった。
「梨花。聞いてほしい。俺..藍のことが好きなんだ。すっげー…好きなんだ。」
「渉?なにゆって……」
「今まで、騙すようなことしてて、ほんとに悪かった。今ここで……藍と梨花の前でケジメつけるよ。」
どういうこと?ついさっきまで藍ちゃんは、相談にのってもらってたって言ってたのに……嘘なの?2人は……どういう関係なの?
「梨花。」
「……ッッ。」
「………別れよう。」
「どういうこと?ぜんぜんわかんないよ渉!」
「好きなんだよ藍が!好きで好きでしょうがないんだ!」
なになになに?ぜんぜんわかんない。ワカンナイヨ―――――。
あたしは立っていられなくなって、座りこんで泣いてしまった。
あたしの肩に、渉の手がおかれる。
「さわんないで!」
「梨花、悪かっ……」
「信じてたのはあたしだけだったの!?渉の愛は……全部嘘?」
「違う!嘘なんかじゃない!」
「でも結果的にそうでしょ!?」
「聞いてくれ梨花、俺は……」
「聞きたくない聞きたくない聞きたくない!!」
頭の中で、いろんなことがグルグルまわってる。こんなとこいたくない。これ以上惨めな姿を、渉に見られたくない。これ以上泣き顔を藍ちゃんに見られたくない。
あたしは走って家に帰った。涙がとまらない。
明日の記念日を楽しみにしてたのは、あたしだけだったの?
毎日の登下校が楽しくて仕方なかったのは、あたしだけだったの?
渉は毎日どんな気持ちで、あたしと歩いてたの?
この前デートしたとき、渉はどんな気持ちだったの?
渉はあたしのこと、好きじゃなかったの?
信じてたのは、あたしだけだったの?
答えはあたしにはわからない。そんなことはわかってる。