昼下がりの図書室-5
「……………」
あやかはショックを受け過ぎたのか、まったく声を発しもせず、ただ天井を見上げていた。
さすがにやり過ぎたのかもしれない。
俺はまた罪悪感が湧き上がるのを感じた。
「なあたか……」
「たかし、これはなんだ?」
手は全部ゆうすけに任せ、たかしの側に回ってきたけんじが、何かを指してたかしに聞いた。
けんじの指さす先には、少しだけ黒ずんだ、ちょうど風船の口のような物がある。
なんだろう。膣は、性器にあるというし……俺は頭を捻らせた。
「下半身のもう一つ穴か、おそらくこれは『肛門』だな」
「ゃぁ……」
肛門という言葉を聞いて、呆然としていたあやかも、顔をさらに赤らめて目を瞑った。
そりゃそうだろう。下手したら性器を見られるよりも恥ずかしい場所だ。
それを余すとこなくすべて見られてしまっているのだ。
その恥ずかしさは計り知れない。
「げっ、肛門ってうんこの出るとこじゃねぇかよ!汚ねぇ!」
心許ない言葉をけんじはサラッと言ってのけた。
その言葉に、あやかはもう耐えられないとばかりに顔を歪める。
「ひっく……ひっく…ふぐ…」
そして、また当然の如く泣き出した。
たしかに肛門を勝手に見ておいて、汚いなどと罵るのは、あまりに酷い。
「おい…いくらなんでも」
さすがのたかしもそれには辟易したのか、けんじを呆れたように見た。
たかしは、ふう、と一度溜め息を付く。
やれやれといった様子だ。
「あやか、あやかの肛門は汚くなんかはないぞ」
たかしは慰めるように、右手であやかの涙を拭った。
そして、左手であやかの下半身へと手を伸ばし、肛門に人差し指を当てた。
「え……」
面食らったようにあやかは、泣くのをやめ、たかしを見つめた。
たかしはいつも通りのスマイルを投げかけると、その指を沈めていった。
「え、え?ああっ!」
「ちょっと痛かったかな?」
そう言って、指を引き抜き、あやかの顔の目の前に立つ。
「汚くない証明」
たかしは、その人差し指を自分の口へと持っていき……舐めた。
「変態だ」
「変態だ」
「変態だ」
「あ…………」
あやかは絶句し、ただたかしを眺める。
その姿は、勇者さながら堂々としていた。
「なんなら直接舐めてもいいけど」
「やめとけ」
それはあやかではなく、けんじが止めた。
「止められるとなんだかなー」
けんじの腕を払いのけ、たかしはあやかの性器の目の前に座り込んだ。
文字通り、目と鼻の先である。
呼吸の一つ一つがあやかの性器に、当たっても不思議のない距離だった。
「そんなジロジロみちゃいやぁ……」
もはや無駄と思いつつも、あやかは抵抗の声をあげる。
いや、もうそれは無駄というより一種のBGMとなりつつあった。
何とも皮肉だが。
ペロ
たかしの舌があやかの肛門を捉えた。
「ひゃ…」
あやかは引きつった笑顔を浮かべる。
くすぐったさと、気持ち良さを混ぜ合わせたその表情はいやに官能的だ。
そして、俺らの欲望をさらに駆り立てる。
たかしの舌は、外側から徐々に中心へと向かっていく。
「あ…や…ひゃあぁ…」
それに従い、あやかの声は大きさを増し、表情もますます官能的になった。
「なあ、あやか」
たかしが一度口を離す。
そして、いつものように意地悪く笑う。