地獄に殴りこみ 〜1〜-2
「う・・ん・・」
「あ、起きた〜?」
「んん?ここは?」
「初めまして〜。」
「…誰?」 俺の目の前には中々可愛いショートカットの女の子。そんでここはどこだ?周りは・・なんつーか中国のお城?みたいなでっかいところ。
「私はフェイ・スタンリードだよ、恭一君。」
「フェイ?」
「まあ、君たちの世界で言うところの閻魔様ってところかな?」
「は?」
「あはは、きょとんとした顔もかわい〜。」
「ここは?」
「地獄だよ。」
はは、マジかよ。いや、壮大なドッキリとか。いやいや待て、落ち着け。なんか自分を落ち着かせてばっかりだな。
「状況が全然わかんないんだけど。」
「えっとね〜。どう説明すればいいかなぁ〜。」
「何でもいいから。」
「まず私はこの地獄の管理責任者なの。」
「…うん。」
「でね、地獄ってのは、まあ君たちの世界で悪いことをした人が死ぬとやって来て、相応の罰を受けてもらってから転生するところなの。」
「うん。」
「でもね、5000年ほど前に産業革命が起きてね、今まで人力だったのが全部機械がやってくれるようになったの。」
ずいぶん現実的だな、おい。産業革命って。まぁ、時間の単位が全然違ったけど。
「それで、私たちは事実上無職になったの。まぁいわゆるニートだね〜。」
なんでそんなにこっちの世界のことに詳しいんだよ。てか笑顔でニートとか言ってんじゃねーよ。
「じゃあ普段何してんだ?」
「ん〜、遊んだり?」
全世界の社会人に詫びて死ね。
「まあ、こっちの世界の説明はこんなところかな?」
「でも閻魔って男じゃないの?」
「あ、ひっど〜い。男女差別反対〜。」
男女差別って。
「まあ600年ほど前まではそうだったんだけどさ〜、男女平等の声が高まってね、それで女でも閻魔になれるようになったの。」
だからなんでそんなに現実的なんだよ。
「それで、俺がここにいる理由は?」
「ああ。私たちってさっきも言ったように暇なのよ〜。それで下界を見たりして暇つぶししてんの。たまにいたずらとかするんだけどね〜。」
「例えば?」
「強風吹かせてかつら吹き飛ばしたり、シャーペンの芯折り続けたり。」
うぜぇ。地味にめっちゃうぜぇ。
「それで、先週も暇つぶししようと下界見てたの。」
「それで?」
「そしたら、恭一君を見たの。」
「で?」
「でさ〜、一目惚れしちゃったんだよね〜。きゃあ〜〜、言っちゃった〜〜。」
「・・・は?」
「でさ、ここ一応地獄だから人がいつ死ぬかとかわかるの。」
「うん。」
「で、恭一君の寿命見たら108歳まで生きるんだよね〜。長生きしすぎだよ〜。」
本当に長生きだな、俺。大往生じゃん。若くして死ぬよりはいいけど。
「今、恭一ちゃん18歳じゃん?あと90年も待たないと会えないのよ〜。」
・・・そうだよ。俺108歳まで生きるんだったら何でここにいんだよ。
「長いじゃん。ていうか長いじゃん。90年あったらオリンピック22回もあるんだよ。待てないって。」
「…ちょっと待て。てことは・・・」
「…殺しちゃった。てへ。」
「・・・」 ぷちっ。