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君の羽根が軽すぎて
【青春 恋愛小説】

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君の羽根が軽すぎて―前編―-5

「周り、誰もいなくなっちゃったね」
 と話しかけると
「元からいませんでした」
 と返された。
「そうだっけ?」
 と誤魔化すと
「そうですよ」
 と笑われた。

 彼女の微笑みにつられて、僕も笑った。


 次の日には、真剣に歌って無邪気に笑うリコがいた。

「頓に思ったんだけど」
「?」
「合唱部には入らないの?」
 リコの声を学校中に響かせれば、確実に全生徒が魅了される。
 将来的にも、色々な面で輝けるんじゃないかって。そう考えてたつもりだった。

 でもリコの理想は、他人の理想とは全然非として成るもので。
「…ソウヤ」
 リコは僕の左手を小さな右手で掴み持ち、その上から小さな左手が重ねられた。
「……」
 必死に何かを伝えようとファインブルーの瞳で僕を見つめて、少し経ってから口を開いた。
「ソウヤにだけ…キかせたい」

 心の内側にあるガラス細工が音を立てて粉々に割れた。
 リコは、リコだけの理想郷を描こうとしている。
 哀歌から思いもしなかったファンシーな世界を紡いで詠おうとしているかの様に。
 悲しすぎて、抱きしめた。
「僕は何も理解してなかった、君の考えていたこと、一つ一つが」
「………」
「本当の魅力に気づかないままでいたのかもしれない」
 リコに惹かれたのは、出会った時のころ。
 リコを好きになったのは、三日目での夕日の下。
 リコしか『 』せなくなったのは、僕の柵が解けた時。



《その歌の名前?ええと、そう、『フレンド』とかいいんじゃないかな。…別に適当に決めた訳じゃないよ。ただ、僕とリコの初めての歌なんだから、ね?》



 リコの心に触れたのは、これから起こる月の元。


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