年上の事情。‐1-2
香ちゃんは立花くんで、
祝さんは鳴海くんで、
そして一人の男からの視線が自分に向けられてるのを感じる。グラス片手に。
そう、部長。
部長はあたしに。あたしに?!
「おいっ五十嵐!水割りっ!!」
あー、はいはい…
まぁ、最後のは別として…
なんなんだろか、これが歳を重ねると言うことなのだろうか。
こうやって幾つもの人の恋愛を見届けてきた。
約3時間の歓迎会も終わり店の外に出た。
「先輩、若いのだけでもう一軒行きません?」
「そうだね、行こうか。どう?3人」
あたしは立花くん、鳴海くん、祝さんに聞いた。
「ごめんなさ〜い。あたしもう飲めませ〜ん」
祝さんはちゃっかり鳴海くんの腕にしがみついていた。
「うん、そうみたいね…
鳴海くん悪いけど、祝さん送っていってあげる?」
別に祝さん気を使ってるわけではなく、これは先輩として一人で帰らせるのが心配なだけで。
「あ。そうですね。わかりました。」
顔が赤いわりには鳴海くんはしっかりしていてびっくりした。
「…ん、それじゃあ、よろしく。」
そう言って、あたしは香ちゃんと立花くんと3人だけの2次会へと向かった。
明日は休みなので、今日は時間を気にせず飲もうかな。せっかくの新人との初の飲みだし。…といっても立花くんひとりになったけどね。
「立花くん、彼女いないの?」
香ちゃんがストレートに切り出した。もしかして、あたしはジャマか?!
「いないんですよ〜」
「そ〜なんだぁ。じゃあ、あたし達と一緒だ」
…達って、おい。
「えっ、五十嵐さんも今いないんですか?」
「うん、まぁ‥」
「そうなんだよ〜。もう先輩何年ですっけ。最近仕事ばっかりじゃないですか」
香ちゃんがあたしをさえぎって言った。
「今は仕事が楽しいから、いいの!」
仕事が恋人ってやつ。
別にあえて作らないわけではない。いたらいたでイイに決まってる。かといって出会いを求めて行動を起こすわけでもないんだけど。