そばにいて……-4
気付かぬうちに、おそらく私は眠っていた。
目が覚めて辺りを見回すと、寝る前と変わらぬ光景が視界に映り、それと同時に幾らか体が軽くなった事を感じる。
これなら、薬を買いにいけそう……
体を起こして深く息を吸うと、ついさっきまで見ていた恥ずかしい夢々が走馬灯の様に蘇ってくる。
バカな夢。
事実、今日は彼は仕事だし、大体そんなウマイ話がある訳がない。
「まったく、やれやれだわね」
「…………」
「マンガじゃあるまいしさ」
「…………」
話しかけた所で、ベットの横に座るクマの縫いぐるみは何も言わない。
そんなのは解ってる事。
しかし……
あれ?
ふと気が付くと、クマの縫いぐるみの首に、彼のネクタイが巻かれている事に気が付く。
思わず固まる…… そして、思い出す!
彼は間違いなく此処に、私のそばに居てくれたのだ。
そしてあの時、確かに私を抱き寄せて言ったのだ。
ずっと傍にいる、と。
なによ、あのバカ……
こんな子供騙し……
思わず呟く、そして少し笑って……
少しだけ泣いた。
おわり