reality ability‐第3話‐東の森、holy forest‐-7
「ふふ、私は冥界の最高神よ?まぁ、貴女は天界の最高神かもしれないけど。私にはその誇りとカオス様の忠誠心の為に死んでもらうわ!」
〈シュン!‥‥〉
那奈夜は喋り終わったと同時に、一気に織音の懐に入り込んだ。
〈ヒュン!‥‥〉
そして、持っていた剣で素早く斬る。
〈ブォン!〉
しかし、その行動は失敗に終わった。
「当たりはしないわ。」
織音は数十歩の後ろにいた。真面目な顔で言った。珍しい事である。織音が真面目なのが‥‥。
「ふん!いい気にならないでよ!」
〈シュン!‥‥〉
那奈夜は怒り、再度素早く動いた。
〈ヒュン!ヒュン!ヒュン!ヒュン!〉
今度は連続攻撃。
〈ブォン!ブン!ブォン!ブン!〉
結果は変わらず、失敗に終わった。実際には当たってはいるが、それは織音の残像なので透けていた。
「悪いけど、その“禁断詠唱”を解いてくれないかしら?解き方が解らないの。」
いつの間にか、織音は那奈夜の真後ろにいた。やっぱり、肝心な事は知らないようだった。
「嫌に決まっているでしょ!?」
那奈夜は言いながら、振り返る。と同時に、剣を振り抜く。
〈ヒュン!‥‥〉
「当たらないわ。」
織音は余裕で避ける。後ろに下がり言った。
「くっ!‥‥炎よ!その力を示せ!我が願いを叶えよ!」
〈ボウ!‥‥〉
その音と共に辺りの木々に火が付始(つきはじ)める。あっという間に全体に広がり、二人はその火に囲まれた。
しかし、その火が二人を襲うことはなかった。“神木”が輝いていて二人を守っていたのだ。
「‥‥‥。」
「どう?スゴいでしょ!?」
「何が?」
「ふん!やっぱり、貴女みたいな人嫌いよ!」
那奈夜は怒った顔で言う。負けず嫌いな性格なのか、生理的に受け付けないのかのどっちだろうか。更に剣で織音を指す。
しかし、織音は気にせずに片方の剣を地に刺し、その腕を挙げた。