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fantasy ability
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reality ability‐第3話‐東の森、holy forest‐-6

「‥‥ふん!私にだって、本気になるんだから!‥‥我が命は闇の威厳!我が意は深淵の暗闇!我が体は暗黒の根源!さぁ、目覚めよ!我が闇の力よ!」

那奈夜はこんな事で少しばかし怒ったようだ。那奈夜もまだ子供っぽい性格に思えた。
問題の詠唱効果の方だが、髪の色は元々黒かったが、更に深みのある黒色になった。まるでブラックホールみたいに吸い込まれるように‥‥。瞳は赤かったのが黒になり、身体中にあの特有の紋様が描かれる。
そして、その紋様が違っていた。祐や結、手下の紋様の色は赤だったが、那奈夜のは完全に黒だった。

「どう?この“力”は?‥‥恐ろしいでしょ?あはは。」

那奈夜の口調は完全に変わっていた。以前なら少しなまっていたが、それが無くなりすらすらと喋っていたのだ。

「ふ〜ん?なら、私も本気になるわよ?」

織音は目を少し細めながら言う。しかし、その刹那‥‥

「させないわよ!」
「くっ!」

〈ヒュン!ギィン!〉

那奈夜は持っていた剣で攻撃するが、織音は余裕で受け止めた。しかし、詠唱は出来なかった。

「邪魔するのは当たり前ね。」
「当たり前よ!貴女に覚醒はさせないわ!」
「ふ〜ん。そんなに恐れているんだ?」
「くっ!‥‥うるさい!私は待つのが嫌いなだけよ!」
「そう、図星なのね?なら、無詠唱でやってあげるわ。」

織音の姿は言葉道理になった。髪の色は少し黒が入った青になり、瞳は純粋な碧だった。誠慈や光とは違って、髪と瞳の色は異なっていた。
そして、周囲にある木々は織音を応援するかのように葉を揺らしていた。いや、織音が覚醒した直後に突風が吹き、葉を揺らしていたのだ。
理由は簡単に解る。織音は風を得意にしているのだろう。風が運命神である織音を敬っているようにも見えた。
すると、織音は片手を挙げる。その直後、暴れていた風が何事も無かったように静かに止んだ。

「ず、ずるいわよ!」
「戦いにずるいとかないわよ。要は勝つか負けるかのどちらかだけ‥‥。そして、残った結果は憎悪の心だけよ。」
「何よ!?‥偉そうに!?」
「そうね。私は偉くないのにね。」

織音の顔が一瞬、いや、刹那だろうか、悲しそうな顔になったが、瞬時に真剣な顔に戻る。

「何で、貴女が悲しくなるの?」

しかし、那奈夜は見逃さなかった。そして、当然質問した。が、

「何の事?私はそんな顔になってないわ。」

と、誤魔化した。

「ふん!まぁ、いいわ。‥‥貴女の力を超える力を持った私にどうやって勝つつもり?」

やけに強気である那奈夜だ。確かに、一回だけだが那奈夜に捕まった事も真実である。強気になっても可笑しくないかも知れない。

「‥‥勝つつもりよ。私はね‥‥。“彼”の信頼を裏切りはしたくないからね。」

織音は真剣な顔で言う。その瞳には那奈夜を確実に捉えていた。


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