心の隙間(下)-1
『ほら!ビ、………』
『もう、何もかもいらないから一緒にいて』
麻衣が全裸で、俺にすがりつくように抱き付いた。
『麻衣何の真似だ!?』
『服、着ろ!!!!!』
『イヤだ……』
『イヤじゃない!!まずは着ろ!いくら欲しいんだ?』 すると麻衣は目に涙を溜めながら『違うの……お金なんかじゃない!!!』と叫び、泣きながら『寂しいの!いつも明るい麻衣じゃないんだから!!寂しい麻衣の方が多いのになんでわかってくれないの?』と言うと崩れるようにその場にしゃがみ込んだ。
『じゃあ…時々夜中に酒持って来てたのは………』
『一人でいるのかイヤだったからに決まってるじゃない!』
俺は泣きながら床に座る麻衣を抱き起こしベットのふちに座らせた。
俺は服を着ようとしない麻衣のために暖かいココアを持ってきて暖房の温度を上げた。それから麻衣は、ゆっくりと話始めた。
『別に、今の生活がイヤなんかじゃない。逆に楽しいよ。でもね…一人で夜寝てるとメチャクチャ寂しくなってきて、なにか得体の知れない圧力に押しつぶされるみたいな、なんかわけのわからない恐怖が突然襲ってきていてもたってもいられず人の温もりがするとこに行ってたの』
『それが…俺の部屋か?』
『うん…。実はね、私には小3の時に死んだ5歳上の兄がいたの。私がそうなるといつも寝るまで隣りにいてくれた。だからゆうき……私のお兄ちゃんになって!』
俺は黙って立上がり服を手渡すと『麻衣、風邪ひくぞ、兄貴と裸で寝ちゃヤバいだろ』と言って電気を消した。
『じゃあ…お兄ちゃんになってくれるの?』
『ああ…』
『じゃあ、おにいちゃん!今日は麻衣が寝るまで先に寝ちゃイヤだからね!』
『おいおい…そこまで』
『もぉ…いいでしょ?』
『抱き付くなぁ!体は大人なんだ!理性きかなくなる』
『な〜んだ…やっぱヤりたかったんだ…』
『俺はひろのりと違う』
『麻衣だって蒼井さんとは違うもん!』
これからは楽しい日々になりそうだ
完