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お見合い=出会いの場?
【コメディ 恋愛小説】

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運命=策略?-3

「文明、一つ頼みがある」
肩を叩きながら、オレは文明に向かっていう。
「何だ?添い寝ならいつでもしてやるぞ」
この変態がっ……。
「頼むから、オレの精神的平和と日常生活の為に死んでくれ」
「俺が死んだら、どちらも成り立たなくなるな。拒否する」
言い切りやがった。
ああ、わかってたさ。こいつがこういう奴だって。
もういい加減、我慢の限界ですよ。神様、もう我慢しなくていいですよね?
今からそちらに変人一匹お送りします!
「このボケぇ!!」
手近にあった椅子を振り上げる。狙いはあの変人の頭。
「うわっ、タッツンがキレたっ!!」
「まて、橘!そんなんで殴ったら、余計におかしくなる!」
周りのクラスメートたちがオレを羽交い締めにして抑えようとする。
「うぉぉっ、止めるなお前らぁ!オレを解き放てっ!!」
腕に絡まったクラスメートたちの腕ごと椅子を変人に叩きつけようとしたその時っ!

ガラッ

「はい、座れ〜」
担任参上。
さすがに担任の前で撲殺はできん!
「ん、どーした橘?椅子なんか振り上げて」
こっちを向く。
まばゆいばかりの美人だが、怒ると鬼も仏も裸足で逃げる事請け合いの人だ。
「え、あー……いやぁ、あははは……」
笑って誤魔化すしかなかった。
「まぁ、良いか。みんなさっさと座れ」
良いのか……という雰囲気に教室は包まれたが、誰もこの太田 白雪先生には逆らえないのだ。
さっきの喧騒が嘘のように静まった教室で、先生が教卓につく。手に持っていたバインダーを教卓に置いて、教室を見渡した。
「はいじゃあ、もう耳にしてると思うが転校生だ。入ってこい」
相変わらずの乱暴な、それでいて何故か似合う口調で先生は廊下にいるであろう転校生を呼んだ。
ドアが開いて入ってくるその転校生……はっ!?
「今度転校生してきた那岐 瑠璃さんだ。みんな、仲良くするよーに」
恋物語ではありきたりで、現実ではまず有り得ない事態ですよ、これは!
何なんだ!?
那岐瑠璃と聞いて、教室の生徒全員がこっちを向いた。とっさに机に突っ伏す。
「どーしたみんな。橘の方なんか見て」
「橘……。先生、もしや彼は橘辰也くんでは?」
「そーだが、よく知ってるな」
「それはもちろん。これは嬉しい偶然だ。いや、もはや運命ととって相違あるまい。どうやって自己紹介しようか悩んでいたが、いま考えついた」
うわぁ、なんか嫌な予感しかしねぇ。
「皆さん。私の名前は那岐瑠璃」
彼女が口を開くと、みんなが一斉に向こうを向いた。
「そこで机に突っ伏している橘辰也くんの未来の妻であり、現在は婚約者のポジションにいるものだ。以後、未来の夫とともにお世話になる。よろしくお願いします」
そういって、彼女は頭を下げた。と同時に、何故か拍手喝采。
「うわっ、何か付け入る隙ない!」
「なんだ畜生、ラブラブしやがって」
「羨ましいなぁ」
「これは応援してあげるべきじゃない?」
「確かに!」
いや、何かいきなりクラスメートの結束が固まっていきますが……。


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