くしゃみの練習-2
「アッッチョーーイ!!
……ッずび……」
「はッ…はべちッッ!!
……はぁ……」
……我ながら何やってんだと思います。
こんなわざわざティッシュくるくる丸めて
ヒモ状にして
鼻くすぐってまで、
あたしはいったい何やってんだ、ってね。
いいんですよ、どーぞ笑ってください。
でもさ、なんかイヤだったんだょ、タイチが他の子「可愛い」って言ったのが。
だってあたし言われたこと無いし、
たかがリスみたいなくしゃみしたからって「可愛い」とか言われるあの子ずるいじゃん。
こんなのただの嫉妬だけどさ…
あたしだってタイチに『可愛い』って言ってほしいよ。
こんなんだけど、あたしだってちゃんと女の子なんだからね……
―――ーー………‥
――ーー……‥‥
翌日あたしは学校がおわったあとタイチの家に遊びに来ていた。
「でさ〜松田がさ〜…」
一人延々と話し続けるタイチ。
あたしはそんなん全く耳に入っていない。
――昨日あたしは“小さなくしゃみ”を死ぬほど練習して、やっとの事でマスターした。
(長い道のりだった…
よくやったよあたし…)
昨日のあたしは、達成感で満ち溢れてた。
そして同時に浮かぶ、タイチの顔……
『サキ可愛い』
「〜〜〜〜〜ッッ////」
ーばんばんばんばんッー
(↑床たたく音)
そして今!!!!
あのツラい修行の成果をを実践に移すとき!!!!
頑張れあたし!!!!
「ちょっとサキ聞い…」
「今話しかけないで!!
集中してっから!!」
「…は?」
さぁ来いくしゃみ…
いつでもかかってこい…
「〜〜〜〜〜〜〜ッ」
「……………?」
ムズッ………
(来たッッ!!!!)