飃(つむじ)の啼く……-5
不思議なことが起こった。円に描かれていた模様が、浮かび上がり、踊りだしたのだ。中央のものを讃えるかのように。飃の歌にあわせて、模様が、だんだんと意味を成さない線の群れに変わっていき、互いに交わりあって、中央のものを包み込んだ。そして・・・・・!
音の無い、光だけの爆発の跡に、私の身体の半分はあろうかという大きさの盾と、一振りの薙刀があった。どちらも、目を見張るような業物で、盾には、何の文字も、何の模様も付いていない。ただその漆黒の円(まどか)は、吸い込まれるほどに美しかった。
薙刀は、柄は樫で、刀の部分の反りが大きい「巴型」(女性用の薙刀)だ。つまり、この薙刀が、私の武器ということになる。刃が、切り裂く相手を欲するかのように、怪しい光を放った。
急にこれから始まる戦いのことを思い浮かべて、恐ろしくなる……
それを察したのか、旋風が私を抱き寄せた。
「お前がこの美しい長柄を振るうとき、私は必ず背後にあってお前を守ろう。私の妻の身体に、一筋の傷をつけようものなら、必ずそいつを殺めて見せる。」そう言った旋風の顔は、この上なく残酷で、欲望に満ちていて……なぜか、私を魅了した。