飃(つむじ)の啼く……-4
「っつ・・・」
苦痛にゆがんだ私の顔を、覗き込む彼の顔は心配そうだった。けど、どちらにも、もう止める術が無い事は解っていた。
だんだん押し広げられていく感覚。
「不思議だ………こんなに濡れているのに、燃えているかのように熱いぞ、お前の中は。」切羽詰まった声で、飃が囁いた。
「…っ……ばか…」
旋風はその姿勢のまま、しばらく動かずに待っていてくれた。その間も、私たちはずっとキスをしていた。
「ん……も、動いて大丈夫と思ぅ……」
彼のは、私を守るようにやさしく抱きしめていた。私の中で、熱く燃えた何かが動く感覚。今まで私が体感したこの世の何よりも、すばらしい感覚だった。
「あぁ・ぁ……!」
旋風が、奥にまで届いているのがわかる。何もかも考えられなくなる。
目を開けると、旋風も目をつぶっていた。私と同じように、感じてくれている。
それが、妙にうれしかった。
旋風が私の足をつかんで、高く上げる。急にさっきより深いところに届いた。
「あぅ……っ」
そのまま、旋風の吐息が荒くなってくる。「さくら……さくら……」
うわ言のように、私の名前を繰り返す。
「ッ…な・なんか…きそぉ……ね・・ぇ……」
「くっ……ぅ・・お、己の名を、呼べ、さくら……」
「はぁ…っ…ぅ……んっ………飃、飃ぃっ………!」
その瞬間、意識が真っ白などこかに飛んで行き、それでも、私の中で彼が脈動しているのははっきりとわかった。
目覚めたときには、私は飃の腕の中にいた。心地よい匂いに包まれて、なぜか、この上なく安らいだ気分になった。
「ん・・・武器は・・・?」「見たいだろうと思って、武器の召喚はまだ取っておいてある。」
そういって、彼は使用済みのコンドームを目の前にぶら下げた。
「わー・・・」ほんとに白いんだぁ・・・
「って、これをどうするの?」
「ここから呼び出す」
呼び出しても、出てくるのは目に見えないほど小さなおたまじゃくしだけなんじゃ・・・と、言おうと思ったが止めた。私は新妻なんだぞ。はしたなさ過ぎる。
飃は、私を浴室に連れて行った。浴室の床には、赤いもので不思議な模様が書いてある。たぶん、血だ。字ではないが、絵でもない。中央の空白を取り囲むようにして、さまざまな模様が描かれている。これを私の寝てる間にやったのだから、私は相当長く眠っていたんだろう。飃は、使用済みのコンドームを、慎重に中央の空白に置いた。本人はいたってまじめな顔をしているので言えないけど、これってとっても滑稽だと思う。
飃は私の手をとって、私の知らない言葉で歌いだした。空気を震わせるような声だ。