投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

レン
【二次創作 官能小説】

レンの最初へ レン 4 レン 6 レンの最後へ

レン-5

彼女が俺を求める欲望はあくまでもこの場限りの物に過ぎない。
俺は彼女がベッドへ移ると、服を脱ぎ捨て彼女に覆い被さった。
この行為に求められるのは快感ではない。
鎮静なのだ。したがって、事前の愛撫は不要だ。
俺はベッドに横たわる彼女を強く抱きしめた。細い腰と華奢な肩に手を回し、引き寄せる。
キメの細かい白い肌、線の細い体、くっきりと浮き出た鎖骨、どこまでも柔らかな胸の膨らみ、くびれた腰回り、悩ましげな女の果実、すらりと伸びた二本の脚。
この行為に欲情は要らないとわかっていても、俺はその全てに欲望を感じる。
だが今は彼女の望むまま、彼女に鎮静を与えよう。
俺は彼女を思うがままに抱きたいという欲望を心の奥底にしまい込み、努めて優しく彼女の中に侵入した。
俺が彼女を奥まで満たすと、彼女は快感に喉を震わせた。
その声は甘く、濡れた吐息と共に俺の聴覚を犯す。
「んっあっ、あぁっ!」

ベッドの直ぐ横には、血にまみれたあのチェコ人の男の死体が倒れている。
彼女は俺が男を躊躇いもせずに殺した事を、どう感じただろうか。
“震えが止まらない”
この言葉は男に犯され殺されそうになった事から発せられた物であり、俺が男を殺したからでは無かった様に思える。男の死を認識した時の彼女の瞳は、冷静そのものだったのだから。

人を殺したのはこれが初めてではなかった。
私怨でこの手に掛けた人間こそいないが、任務という名の元に犯した殺人は数知れない。
人の命をこの手で奪う度に、俺は“命”や“生”というものに対する感覚がずれていくのを感じる。
俺は死体から目を反らし、快感にあえぐ彼女を見つめた。
彼女はこれまでどれだけの“死”に触れてきたのだろうか。
他人が誰かによって強制的に死をもたらされる瞬間など、普通に恵まれた生活を送る女には想像も出来ないだろう。
だが彼女がこれまで平凡な生活を送ってきたとは考えにくい。
麻取という特殊な職業、自らの危険をいとわないかの様な彼女の行動、死をまのあたりにした時の冷静さ、それらは彼女が只の平凡な女である事を否定している。
彼女が今後俺の計略通りに動く事になれば、必ず多くの“死”を目にする事になるだろう。
その時、彼女の心の強さが問われる。

俺は一時、思考を止める事にした。
これ以上何かを考えたとしても、今は何もまとまらない。

彼女の腰をぐっと引き寄せ、俺は彼女に己を強く打ち付けた。
そしてその激しい抽挿は、俺と彼女が果てるまで続いた。


この時の俺には、まだ迷いがあったんだ。
君を俺の任務に巻き込んでしまって良いものかと。
だが迷いとは裏腹に確信もあった。
君ならこの潜入捜査を成功に導く事が出来るだろうと。


レンの最初へ レン 4 レン 6 レンの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前