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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-36

俺はクローゼットからシャツとロングジャケット、レザーパンツを取り出し、身に着けた。衣服の色は全て黒。
ライファーから予め、作戦の際のセーフカラーはブルーだと知らされていた。しかし身に着ける物で青い物は持っていない。
だがセーフカラーを着けていなくとも、作戦に参加する人員で俺の顔を知らない者は、日本麻取側の人間だけだろう。
銃火器を手にしない日本麻取の人間に勘違いされようと、命に危険が及ぶとは思えない。
俺はそのままの姿でホテルの部屋を出た。

強襲開始約八時間前の作戦本部は独特の緊張感の中、張りつめた空気が漂っていた。
強襲部隊には最新鋭の通信機器が配備された為、作戦指揮はこのINCの駐在官事務所から行う。
俺はすぐにケイの姿を探した。
『首尾はどうだ?』
部屋の隅に置かれたパソコンに向かい、無表情にキィを打つケイに俺は尋ねた。
「準備は全て滞りなく進んでいます。目標地点には作戦開始直前まで車の出入りがあるかと思いますので、装甲車や歩兵部隊は開始寸前まで組織所有地手前で待機します。ヘリをはじめとする航空部隊は、作戦開始時間にあわせて最寄りの米軍基地を飛び立ちます。」
『シェリルの方はどうだ?』
ケイは横浜を最初に訪れてから一週間、一日も欠かす事なくシェリルの元へと足を運んでいた。その共有した時間の中でどれだけシェリルの心を揺さぶることが出来たか、その結果ももうすぐ出る事になる。
おそらくシェリルは組織の崩壊と共に、自らの生を拒否するだろう。それ程弱く、憐れな女なのだ。
これまでのダークネスの詳細な納品記録データは、作戦の終結後、世界各地に散らばったダークネスの足取りを追う為に必要不可欠な物となる。
それを握るシェリルからは、確実にデータを入手しなければならない。
方法はいとわない。だが俺が選んだ方法は最も確実であり、最も不確実でもある様に思えた。全てはシェリルの心にかかっているのだから。
「…問題ありません。」
『そうか。嫌な仕事を押し付けてすまない。余計な感情は捨てて、作戦の成功を祈ってくれ。』
俺は自らを棚に上げて、酷な事を言った。
ケイに余計な感情を捨てろなどと言っておきながら、玲良の事が気になって仕方ない俺がいる。
「蓮!!最終確認だ。顔を貸してくれ。」
俺はライファーの声に従い、ケイと共に彼の元へと歩み寄った。


『見てみろよケイ、三浦半島と東京湾が一望出来る。』
組織所有の土地に入る手前、俺はバックミラーに映った景色を見て言った。
「生憎、一週間毎日この光景を見ていましたので。」
午後一時を十五分程過ぎた頃、俺とケイは一時間半後には惨劇の舞台となっているであろう組織の本部へと向かう車の中にいた。
全ての打ち合わせと確認を終えた俺達は、俺がハンドルを握るコルベットでこの地までやってきた。
重役会の開始は二時、強襲の開始は二時半。だが俺にはその前に玲良に会わなければならない。そして俺の口から真実を告げる。
『さぁ、着いた。』
建物の手前に来るまでにあった門にはフールの部下であろう警備員が配置されていたが、俺達はすんなりと通る事を許された。フールから事前に連絡が来ているのだろう。
俺は戦闘服姿の門衛が頭を覗かせる歩哨小屋の真横に車を停めた。
本来ならば歩哨小屋よりも手前に停めていたが、今回は車を停めた位置の真横にある門の役目を奪う為だ。この巨大な門が閉じられてしまっては、強襲の歩兵部隊は酷い苦戦を強いられるであろうから。
そして戦闘の真っ只中に残される俺の愛車が無事に帰ってくることは、…まずない。
コルベットを蜂の巣にしてしまうのはもったいない気もしたが、彼女も俺のポルシェを足にここまで来るだろうと考え、あえてコルベットを選んだ。
現に彼女をここまで運んだポルシェは門の手前に停められている。


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