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レン
【二次創作 官能小説】

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レン-12

納品のではトラックジャッカーとの戦闘に備え、ある程度の火力が必要だ。
『さて、荷物とのご対面だ。』
俺は彼女の前に、大きなアタッシュケースを2つ並べた。そしてそのケースをトラックの保冷庫に乗せ、蓋を開いて見せた。
『ダークネスという。中国で発明された有名な漢方薬だ。だが今は中国でも作られてはいない。』
ケースの中身は丁寧に梱包された黒い粒状の薬、これが組織の商品だ。
「どこで作っているの?」
彼女はその一つを手に取り、俺に尋ねた。
『俺も知らない。知っているのは社長だけだろう。』
「飲んだらどうなるの?」
『一泊二日の天国旅行さ。肉体的な依存は少ないが、精神的な依存は半端じゃ無い。』

俺の仕事はこのダークネスの流通を管理する事。
国内外への納品が滞りなく進むように運び屋達を動かし、納品の妨げとなるトラックジャッカーを排除する。
しかし本当の目的はダークネスの流通・製造を止める事。
俺の手の内にあるダークネスを処分する事は簡単だが、それでは何の解決にもならない。
組織を壊滅させ、密造地を突き止めて製造自体を止めなければ、ダークネスはなくならない。

保冷庫にケースをしまうと俺はトラックの助手席へと腰を降ろした。彼女は運転席に座り、トラックのエンジンを始動させる。
『こいつで六本木まで行く。到着時刻は今から五時間後。』
「五時間?!」
そう、これがアゲハへの納品の仕方だ。
俺がアゲハに連絡を入れてから六時間後が取引きの時間になる。
『まっすぐ向かえとは言っていない。まず茨城に向かって、そこから一般道を南下する。』
「何のために?」
『トラックジャッカーの排除と尾行を撒く為だ。他に二台の囮のトラックをつけるが、アゲハの所に着くまでには確実に排除しなければならない。』
彼女はトラックを発進させた。続いて二台の囮トラックが発進する。
「運転に注文は?」
『警察の目を惹かなければ好きにしてくれ。』
彼女の運転ならば全てを任せても安心だ。
俺達の乗ったトラックはレインボーブリッジを渡り、有明から高速の東行きに合流した。浦安インターまで走ると、一旦一般道に降り、今度は西行きに再合流した。
「おたくの会社にトラックは何台あるの?」
『長期リースだ。』
俺は無表情に答えた。
「今までにトラックジャックには何度会ったの?」
『輸出用の荷物も含めれば八度。全て運転手は殺され、ダークネスを一粒残らず持ち去られている。』
「なるほど、随分危険な仕事を引き受けちゃったものだわ。」
彼女の言う通り、これは命の危険を伴う仕事だ。
『うちはもともと輸出専門の商社だったんだ。だがアゲハには品物を国内で流通させると、急に重役が決めてね。ダークネスの供給源をアゲハ一人に絞ると決めた以上、トラックジャックなんかで商品が横流しされるのは非常に迷惑だ。』
「なぜあなたの会社の重役達はアゲハだけにダークネスを卸そうと決めたの?」
『それも秘密主義が会社の意向のせいか、俺には伝わってこない。』
俺はため息を吐いた。何故組織はこれ程までに秘密主義を徹底するのだろうか。
俺の勘が正しければ、その答えはアゲハが知っているはずだ。
囮のトラック二台は俺達のトラックを挟むように前と後ろを走っている。
「トラックジャックの事件は警察沙汰にはならなかったの?」
『なったさ、だがトラックに放置された死体は身元不明、積み荷は持ち去られていて無し。トラックは長期リース会社から貸しだされていたが、借り主の【ベイコンテナ】という運送会社は実在せず、書類も免許証も何もかもが偽造。これじゃ警察もお手上げさ。俺をなめてもらっちゃ困るね。』
「仕事が出来るのね。」
『ありがとよ。』
俺は嫌味と知って、彼女のその言葉を受け入れた。


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