Old Fashion-4
夏休みの間、僕は吉野の手紙をジリジリした気分で待ちながら、水泳部にいた友人と学校のプールで泳いだり、蒸し暑い勉強部屋で好きな小説を読みふけったりして過ごした。
9月1日、登校した僕の気持ちは恐らくみんなの気持ちとは正反対だっただろうと思う。
吉野は登校していた。学校ではなんだか恥ずかしくてろくに会話もできなかったがその日の午後に彼女の家を訪ねる約束だけは交わした。
吉野の部屋で、僕たちは止めていた息を一気に吐き出すようにとうとうと喋り合った。
お互い話し疲れて、会話が止んだとき彼女が僕の髪に手を伸ばした。
「相変わらず、毛立ってるね・・」
今度は僕も彼女の長い髪を撫でた。はじめて吉野の部屋に来た時と同じ歌が流れていた。
吉野の唇は薄くて冷たかった。
二人は互いの身体のすみずみまで撫で回し全身にキスをした。
吉野の中はとても熱かった。ずっとそのままでいたかった。しかし僕は吉野の中から出た。
コンドームを持っていなかったからだ。何度か買おうと思ったのだが恥ずかしくてとうとう買えなかった。
僕は下半身を吉野に押し付けたまま彼女を抱きしめていた。
「お腹の上に出していいよ・・・」
「えっ・・でも、汚れちゃうよ・・」
「いいから・・」
僕は吉野を力いっぱい抱きしめて、お腹の上で果てた。
様にならないsexだった。しかし僕はその時腕の中に吉野がいるということが最高に嬉しかった。オトナになったような気がした。吉野は安心したように目を閉じていた。
「結婚しようよ。正彦君は大学に行くんでしょ。私が働いてあげるよ」
そんな子どもじみた会話をしていた。
僕は吉野のおかげで少しオトナになれた気がする。でも吉野は、吉野のあの深い淋しさと強い愛情欲求は僕によって少しは満たされたのだろうか・・・僕にはわからない。