サイカイ ―第1章―【再会】-2
「ただいま。」
どうせ誰からも返事はないから、小声で呟くと2階の自分の部屋に入った。
「ふぅ、だりぃ〜」
一息ついて、荷物を放り投げて楽な格好に着替えると、俺は隣の義姉の部屋に行った。急に帰ったし、驚かしたら悪いから、一応声をかけとこうと思ったからだ。
コンコンッ ガチャッ
「義姉さんただいま!」
軽くノックしてドアを開けたが、部屋には義姉はいなかった。
(どこ行ったんだ?)
靴はあったし、家にはいるはずだった。
(夕飯の支度には早いし、トイレかな?そういや俺もトイレ…。)
義姉が入ってたら、帰って来た事と、次がつかえてる事を伝えればいいと思って、1階の風呂場の横のトイレに向かった。しかし、トイレには義姉はおらず、無事に待つことなく用を足せた。
(義姉さんほんとにどこ行ったんだ?)
そう思いながらすっきりさせた俺はトイレからでて部屋に戻ろうとした。
…ぅぅうう゛
その時、風呂場から泣き声のようなうめき声のようなものが聞こえた気がした。
…ぉうぉぉ
間違いなく人がいる。
(義姉さんか?)
その声が普通じゃない気がして、俺は素通りするわけにも行かなくて、風呂場に入っていった。
「ただいま、いるの?っ…兄、兄貴…義姉さんっ!!」
風呂には兄貴と義姉がいた。兄貴が帰ってて昼間起きてることにも驚きだが、目の前の光景はそれ以上にびっくりした。
義姉は素っ裸で兄貴はTシャツ一枚という格好だった。そして義姉は四つん這いの姿勢で、仁王立ちした兄貴のデカいモノを喰わえていたからだ。
義姉の身体にはいくつも痣のような痕があった。そして、義姉の尻の穴にはシャワーの管が刺さっていた。床にノズルが落ちているところをみると、ノズルは外してあるのだろう。ぬるま湯が極少量ずつ出ているようだ。ということは、あれは浣腸しているのか。
(流石に兄貴も兄妹には手を出さないとは思ったんだけどな…。)
「なにしてんだよ兄貴!」
俺の声に義姉は驚いて振り返り、硬直していた。俺の姿を確認したその目は、今にも泣きそうだった。兄貴はというと、一瞬驚いた顔をしたが、入ってきたのが俺だとわかって余裕の表情をしていた。
「昭、早いな。サボりはいかんなぁ。」
そう言って兄貴は笑っていた。
「兄貴に言われても説得力ねぇよ!て、何してんだよ!?」
「何って…ナニをしてんだよ。見りゃわかるだろ?」
兄貴はあっけらかんと答えて来た。
「いや、兄貴が女相手に何してようがいいけど、義理とは言え兄妹はまずくないか?」
俺は兄貴が強姦していたとしても驚かない。してそうだし。でも、兄妹ってのは道徳的にっていうかなんかまずい気がしていた。
「ん、俺だってさすがに義理でも妹に襲いかかろうなんて思わねぇよ。順序が逆なんだよ!」
「逆?なんだよそれ?」
俺は兄貴の言ってる意味が解らずきょとんとしていた。
「つまり、妹になったのが先で後からヤッたか、前からこういう事をしてて後から知らない間に妹になってたかって事だ。」
「は?兄貴と義姉さん知り合いだったのか!?」
妹になる前からそういうことをしていたとわかると、別に血も繋がってないんだしいいように思えた。どっちにしろ合意じゃなく、兄貴から無理矢理関係を持ったことに、変わりはないだろうけど…。今更、兄貴の事を軽蔑するほど、俺もまともに育ってはきてない。でも、俺の知らない二人の関係が妙に気になった。
「話すと長くなるからな。真希の部屋で話してやるよ。先に行ってちょっと待ってろ!片付けたら行く。」
義姉は俺と顔を合わせない様にしているのか、うつ向いて壁の方に顔を背けていた。
「おい、そんなとこにいたら汚れるぞ。出ろ出ろ!」
義姉のことをボーッと見ていた俺は、兄貴に追い出されるように風呂を出た。
ブッ ブビッ ビヒャビヒャッ ブリッ… ボォォオォォー…
兄貴が風呂の扉を閉めた直後、破裂音と共に勢いよく透明な液体が、風呂のすりガラスの扉にぶちまけられた。恐らく兄貴が義姉の尻に入れられていたシャワーのホースを抜いたんだろう。既に何度か浣腸を行なっていたのか、吹き出した液体は、ほぼただの湯だった。
「嫌ぁーっ!昭君、お願い部屋に行って。」
ガラス越しに俺の影に気付いた義姉が、力ない声で俺に言った。
「すげー勢いだったな。ガラスが割れるんじゃないかと心配したよ、義姉さん。」
「真希がグズって手間かかるから部屋行ってろ!」
扉の向こうで兄貴がしっしっと手で追い払うそぶりをしたので、俺はひとまず義姉の部屋へと引っ込んだ。
義姉は、元々兄貴の獲物だった。そう考えると、もう真希のことを姉としてはみることができなくなった。