【思い出よりも…後編】-2
「ウンッ…クゥッ…ンッ…」
肉の打つ音に合わせるように慶子のうめき声があがり、興奮させられる。
すると、私のモノにヌメリが絡みついて動きがスムーズになった。
(ア〇ルも濡れるのか…)
慶子のあげる声も、うめきから悦びのそれに変わっていた。私は腰の動きをスピード・アップさせ、激しく打ちつけた。
「アンッ、アンッ、アンッ…いや…そ…んなにされちゃ…アァッ…」
何も聴こえなかった。興奮は最高潮に達し、私は狂ったようにア〇ルを攻めたてた。
「アァッ…いやあぁ…オシリで…オシリでイクなんて…」
私のモノを肉壁の締め付けが襲う。それも膣内とは比べものにならないほどの。
「ああっ!…す、凄い…」
「アアッ…イクゥ!、イクゥ…」
私は耐えきれず、身を反らせ慶子に身体を押しつけると、ア〇ルの中に射精した。脚が震え、頭がしびれるほどの快楽が私を襲った。彼女も同じなのか、時折声を漏らして身体をビクッと痙攣させていた。
半ば強引に身体を交えたあの日以来、私と慶子は毎週のように会い、食事を共にした後ベッド・インをする関係を続けていた。
“不倫“という言葉が頭をよぎる。
結婚して以来、妻以外の女性を知らなかった私には罪悪感溢れる言葉……
だが、頭では分かっていても慶子と過ごすひとときだけに、やすらぎを感じていた。
(ガランとして冷えた空気が支配する我家のなんと寂しいことだろうか…)
ー翌朝ー
私はいつものように部下達から提出されたレポートに目を通していると、デスクの電話が鳴りだした。
ディスプレイを確認すると、受付からだ。私はレポートを傍らに置くと、受話器に手をかけた。
「プロジェクト・リサーチ部ですが…」
受話器から聞こえる声は、柔らかな女性の声だった。
「伊吹マネージャーですね。こちら受付ですが、斉藤と名のられる女性の方からお電話が入ってますが…」
(斉藤?)
「分かりました。つないで下さい」
“カチャ“という接続音が聞こえた。
「お待たせしました。伊吹ですが…」
「雅也さん、どういう事です?加奈枝が家に帰ってひと月あまり経つというのに、未だ迎えにこないなんて…」
声の主は加奈枝の母親、良枝だった。私はどう返答するものかと考えていると、
「何とか言ったらどうなの!ウチの娘をあんな目にあわせて!あの娘は泣いて帰って来たんですよ」
私は苦笑してしまった。加奈枝同様、エキサイトすると金切り声を発する。あの親にしてこの子有りだ。
「お義母さん、ここは会社ですから。プライベートな事は自宅に連絡して下さい」
耳元で“なんですって!“と聴こえたが、私は構わず受話器を戻した。そして、受付に連絡をとった。
「先ほどの斉藤さんから今後、連絡があっても、つながないで下さい」