社長室での秘め事…2-1
「坂下…今日の予定もう1回教えて欲しいんだが…」
社長の金澤雪人(かなざわゆきひと)はそう秘書の坂下麗(さかしたれい)に聞いた。
「あ、はい。
佐藤商事の専務が11時頃来られます。
そのあとライアン・ガードナー氏と食事会が13時、…」
「いいよ、わかった」
まだ全部言い終えていないのに言葉を遮られる。
…社長疲れてるのかな?
わたしは手帳を閉じてバッグの中に入れ、応接用のソファーに座りパソコンを開いた。
…もうあれから2週間たったんだ。
チラリと社長がいるデスクの方に目を向ける。
あの上に押し倒されて、体を開かれて…
…って何考えてるの…顔、熱い。
社長もわたしの方を見てきて、目が合った。
「社長、最近疲れてるみたいですけど大丈夫ですか?」
わたしの口からとっさに出た言葉はそれだった。
あの2週間前以来、社長はわたしの体には触れていない。
会話も仕事の会話だけ。
感情を確かめ合ったはずなのに、今までと変わらない関係。
見る度にドキドキするのはわたしだけ…?
「…3時間は寝てる」
ボソッと呟くとソファーの方にやってきてわたしの隣に座る。
「あんまり、無理しないでくださいね…?」
そんなことしか言えない自分がもどかしくて。
こんなに社長が近いのに、側にいるのに。
「肩…借りる」
わたしの肩に頭を乗せて、社長は目を閉じた。
…きれいな顔。
あの時以来だな、こんな近くで見たの…
「今はまだ9時ですから、寝ててかまいませんよ」
「…ああ」
心臓がバクバク言う。
あの時の感覚がよみがえる。
この唇で、この指で、そして社長の…
そう思った瞬間、社長はわたしの体を抱き寄せた。
「社長?」
「坂下っていい匂いする」
そう言って、そのまま体重をかけてソファーにわたしの体を沈める。
「社長…!だめです、こんなところで…あ!…だ、だめっ…」
社長がわたしのスカートをめくった。
「また、こんな下着つけて…」
黄色の下着…ガーターベルト。
「見ないで…嫌です、こんな格好…」
脚が震える。
恥ずかしすぎて…
わたしは顔を背けてぎゅっと目を閉じる。
「…あっ!」
社長がわたしのそれを下着越しに人差し指でなぞったから、わたしはそんな声を出してしまう。
「…嫌…恥ずかしいです…」
そう言うけれど。
わたしはあなただから喜んでる…
この指がわたしの体を這うことを喜んでるの。
「んっ…」
唇をふさがれるだけじゃ足りなくて、もっと、って欲しがるわたしの体。
下着越しにわたしのそれにそっと触れるその指がもっと欲しい。
だけどわたしはその思いと裏腹に
「社長、疲れてるならこんなことしちゃだめです…」
と、社長が唇を離した瞬間にかすかな抵抗を見せた。
「…そうか」
社長は手を止め、わたしから体を離す。
「なら、坂下がしてくれ」
「…え」
「疲れてるから」
ニヤッと社長が笑みを浮かべて自分のシャツのボタンを外し始めた。
ど、どうしよう…
わたしはスカートを直して起き上がり、中途半端に愛撫された体を鎮めようとするけれど。
社長はシャツを脱ぎ終え、タンクトップ姿になる。
その姿にわたしはドキドキした…
初めて見る社長の肌。
筋肉質で、年齢を感じさせない。