無名の伝記-22
「なんか最近楽しそうだな、リース。」
「まぁね。うちにホームステイしに来た子がいてさ。名前がジベルっていうんだけど…あんたに名前似てるね。」
少女は近づいてきて胸元の名札を指差して言った。
「エバン・ジル。」
エバンはそうか?と首を傾げた。
「明日休みだしどっか行くの?まさか就活?」
「いや、人を探しにな。」
やがてホームに電車が着いた。二人は他愛のない話をしながら乗り込む。エバンの表情は明るかった。
彼は「大人」になっていた。