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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第八章』-1

あの事件から約二週間。秋冬は相変わらずぼやーっとした生活を送っていた。学校こそ休んでいないが、心ここにあらずというか、ふっと顔を見ればぼーっとして、千里達に心配をかけていた。




シスコン『第八章』




今現在、私立春日高校は盛り上がっている。
それもそのはず。二週間後に控えた『春日高校文化祭』の準備に大忙しなのだ。
「じゃあ、我が一年五組の出し物は、『メイド喫茶《おかえりなさいませ御主人様》』でいいんだな?」
一年五組をまとめるのは、ご存じの通り辰馬正信だ。(知らない方はシスコン『第三章』を見てください。)
「…女子の視線が痛いんだが。」
正信はそう言うと、はぁと溜め息を吐いて目をこすった。
「当たり前じゃない!メイドの格好なんてしたくないのよ!!」
と、ある女子が言うと、他の女子も騒ぎ出す。
「だいたいこんな案を出したの誰よ!!!」
「……あ、オレだ。」
つぶやいたのは、澄だった。女子が澄に筆箱やら消しゴムやらを、正信までチョークを投げている。
「オイたつまさ!お前まで投げるんじゃねぇ!!」
たつまさとは、正信のあだ名だ。
「お前が下らん案を出すから、オレが非難轟々、女子はぶーぶー言ってるんだよ。」
「下らなくない!メイドだぞ?時代の最先端だぞ?街を見渡せばどこもかしこもメイド、メイド、メイド。秋葉原に行けばそう、そこはメイドの山…、」
「お前秋葉原行った事ないだろーがよ。」
たつまさの冷静なツッコミ。
「うるせぇなぁ…、なぁ四世弟!お前もメイドが……、」
そう言って後ろの席を澄が見れば、秋冬はグースカと寝ていた。
「あほ。四世がこんな話し合いにまともに参加するわけねぇだろ。」
教室中に笑いが巻き起こる。大半の女子は、秋冬の綺麗な寝顔に癒されている。だから女子は誰も何も言わない。
「…それにしても、女みてぇな寝顔だなぁ。」
澄が言った。
「普通の喫茶店でよくない?」
女子がそう言うと、全体が納得した。
「…メイド喫茶は?」
「それ以上言ったら冥土に送ってやる。」





放課後
「起きて…起きて秋冬君!」
「うにゃ…?」
千里が秋冬の体を揺らすと、秋冬はゆっくりと起きた。
「どうした……?」
「部活の時間だよ。」
周りの人はクスクス笑っている。
「あぁそうか。わり…。」
秋冬は手提げカバンを持った。
「部活って…何するんだ?」
秋冬が千里に聞いた。
「文化祭実行委員会議。」
「……はい?」
「よろず部は文化祭実行委員なのだ。」
千里が笑う。
「ふーん…姉貴は?」
「逃げられた。『私にそんな仕事は似合わないわオーッホッホッホッ』って高笑いしながら。」
秋冬は微笑む。
「そっか。じゃあ行こうか。」
二人は、会議室に向かう。


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