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Letter #1
【悲恋 恋愛小説】

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Letter #1-1

僕の名前は宏隆。
普通の高校3年生。
趣味でバンドをしている。
これは、そのバンドで体験したお話。



僕のやっているバンドはジャズバンド。僕はベースを担当している。他のメンバーはみんな社会人。仕事をしながらバンドをしている。
うちのバンドは、月に2回くらいのペースで路上ライブをしている。場所は、駅の近くにあるちょっと広めな公園。
そこでいつも演奏している(もちろん許可はもらってる)。
演奏していると、それを聞きつけて人が集まってくる。この感じが結構好きだ。たまに手拍子をしてくれる人もいる。
僕たちは別に、CDを出したいとか有名になりたいとかそういう理由でバンドをしているのではなく、ただ自分たちが楽しめて、それを観て聴いてくれる人たちも楽しめればいいと思っている。
だから、今のスタイルでかれこれ1年続けている。
常連さんも4,5人いる。
そんなユルい感じのバンドなのだ。


ある日、いつものように適当な時間に集まって、ライブを始めた。
予定していた曲をすべて演奏し終わって、お客さんもちらほら帰りだして、そろそろ僕たちも楽器を片付けようとなったそのとき、

「あのぉ…」

不意に、背後から声がした。
振り向くと、車椅子に乗った女の子がいた。
その子は少しおどおどしながら、小さな声でこう続けた。

「あの、スゴくかっこよかったです。あの…」

そこで女の子はうつむいて黙ってしまった。

「ライブ観てくれたんだ。ありがとう」

とりあえず僕はそう言って女の子の反応を見た。
相変わらずうつむいたまま、顔を上げない。少し心配になり顔をのぞき込んでみると、その子は目に涙をためていた。

「!!」

僕はびっくりして、どうすればいいかわからなくなった。
とりあえず、近くにあったベンチのところまで連れて行って、飲み物を買ってあげて落ち着くのを待った。

10分くらいしてから、女の子が口を開いた。

「ごめんなさい」

震える声で謝った。
とりあえず涙は止まったらしく、赤くなった目を僕の方に向けた。
泣いていた理由を聞いてみると、今日初めてライブを観てスゴく感動したらしい。それで、なんとか勇気を出して声をかけようと思ったのだが、いざ話しかけてみると、緊張してなかなかうまく話せなくて、泣いちゃったみたいだ。
少し落ち着いたのか、少しずつゆっくりとライブの感想を話してくれた。
僕もいろいろな話をしてあげた。曲の説明や今までのライブであった面白いこと、とにかくたくさん話をした。

気がつくと、もう夕方になっていた。
聞けば、その子は近くの病院に入院しているらしい。なので、病院まで送っていってあげた。
別れ際に名前を聞いてみた。

「松本真奈美です」

と、女の子は笑顔で答えてくれた。
次のライブの日を教えて、その日は別れた。

「次のライブも絶対行きます!」

と真奈美ちゃんは言ってくれた。



次のライブの日、約束通り真奈美ちゃんは来てくれた。
演奏が始まって、たまに真奈美ちゃんの方を見るととても楽しそうに手拍子をしてくれていた。
ライブが終わり、楽器を片付けていると真奈美ちゃんが来てくれた。
この前のベンチのところに行き、また話をした。
今日は、真奈美ちゃんが自分のことをたくさん話してくれた。


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