Letter #1-2
自分は隣町の高校1年生で、今は病気の治療のためにこっちに来ているということ。
中学校では吹奏楽部でトランペットをしていたということ。
自分は体が弱いからあまり練習に参加できなかったということ。
他にもいろいろ話してくれた。
僕はそれをじっと聞いていた。
夕方になり、病院まで送ってあげた。僕が帰ろうとすると真奈美ちゃんが呼び止めた。
「あの…これ…」
と、真奈美ちゃんは手紙を差し出した。
僕は、
「ありがとう」
と言い手紙を受け取った。その場で読もうとすると、
「まだ読んじゃダメ。お家に帰ってから読んで…」
と、言われた。
何が書いてあるんだろう?と思いつつ、
「わかった」
と言い、ポケットに手紙をしまった。
家に帰り着き、さっそく手紙を読んでみることにした。
『こんにちは、宏隆さん。
手紙読んでくれてありがとうございます。
私、宏隆さんと初めて会ったあの日から、ずっとジャズのCD聴いています。
バンドで演奏していた曲や、宏隆さんが教えてくれたバンドの曲…いろいろな曲聴いてます。
えっと…
いきなりですが、私、宏隆さんのことが好きになりました。
ホントは直接言うつもりだったのですが、やっぱり恥ずかしくて…
ぁ!でも、付き合ってくださいとまでは言いません。
どうせ私じゃ宏隆さんとはつりあわないし…病気の女の子と付き合うのはイヤですよね?
きっとこの手紙を渡したら、私はもう宏隆さんと普通にお話することはできないでしょう。
でも、今伝えたかったんです。
私…あと一年もつかわからないらしいんです。お母さんと先生が話してるのを聞いちゃいました。
宏隆さんにはもう会えません。恥ずかしいし、薬の副作用で変になっていく私を見てほしくないから…
ライブスゴく楽しかったです。宏隆さんのベース、スゴくかっこよかったです。
もっと観たかったなぁ…
宏隆さん、今までありがとうございました。
これからも頑張ってください。
さようなら。
真奈美』
どうしたらいいのか分からなかった。涙が止まらない。
『真奈美ちゃん…』
僕は一晩中悩んでいた。