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遠回りの恋路〜初恋〜
【初恋 恋愛小説】

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遠回りの恋路〜初恋〜-3

覚えてて、くれたんだ――。

体が、足が。
そして心が震えた。

まるで中学生の時に舞い戻ったかの様に。
初恋に小さく震える自分がいた。
仲間と飲んで騒いで。
再び彼と二人きりになった。
たわいもない話をして。
中学の時に交した会話以上に話をした。

その時。再び彼への気持ちが押さえられなくなりそうになっているのに気が付いた。

あんなにも過去にしようとしていたのに。浮かれてそんな事を忘れている自分がいた。
「ずっと、忘れたことなかったよ。初恋だったから」
酔いにまかせて言葉に出してしまった。
私は真っ直ぐ前を向いたまま、彼の反応をうかがう。
「オレも。ずっと気になってた。…会えて良かった」
隣を見上げると、少し照れた様な顔で笑って。

その言葉が意味するものは?

巡り巡ってきたこのチャンス。もう一度。
想いを伝えても良いのかな…?

勇気を出して伝えた言葉に、彼が頷いてくれる。さっきより少し、照れながら。


10年目にして叶う初恋。
あの頃の私に、こうなることがどう想像出来ただろう。今こうやって、並んでいることがとても不思議で仕方がない。

「きっとあの頃付き合っていても、遠距離になって別れてたと思わない?…まぁ今も遠距離になるんだけど」
確かに彼の言う通り、幼い恋は距離に阻まれていたかもしれない。
それは結局、結果論でしかないのだけれど。

随分と遠回りをした。
10年は私にとって、とても長かった。
でもこれが、
私たちの恋の『みち』だったんだね。

初恋は実のらないというけれど。想いを大切に、そして少しの勇気と行動があれば。
それは極上な『happy end』を用意していてくれるものなのかもしれない。

――そう、最後まで読んでくれたあなたにも。

◆end◆


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