『家族へ宛てた手紙』-2
『 大好きな 心太 陽太 へ
母さんが、この手紙を書いている時、心太は2歳、陽太は4ヶ月です。
心太と陽太が、この手紙を読むのは、2人が何歳になった時なんだろう・・・・。
心太と陽太、2人は母さんのこと覚えててくれてるのかな?
心太は、2年間毎日母さんと過ごしてきたよ。
「かーさん かーさん」って毎日呼んでくれてる。
陽太は、毎日かわいい笑顔を見せてくれてるよ。
「あー あー」って、おしゃべりも上手になったね。
2人が眠ってる横で眠るのが、母さんは一番幸せです。
母さんからお願いがあります。
どうか、強い子になって下さい。
優しい子になって下さい。
人の気持ちのわかる子になって下さい。
2人の成長を見届けてあげられなくてごめんね。
たくさん遊んであげられなくてごめんね。
もっともっと、遊園地や動物園やキャンプにも行きたかったね。
2人の運動会も見たかったな。
短い間しか一緒にいてあげられなくてごめんね。
本当にごめんね。
でも、生まれてきてくれてありがとう。
母さんの子供に生まれてくれてありがとう。
母さんは、2人に出会えて幸せでした。
2人とも 心から愛しています。
母さんより 』
書いていたら、涙が止まらなかった。
死ぬってこと、まだ実感がない。
でも、2人の子供をおいて逝くのは、ツラすぎる。
まだまだ、これからなのに・・・・
外はとてもいい天気なのに、
私の心は ひどく暗くて、
涙が 止まらなかった。
伸ちゃんは、最近帰りが早くなった。
休日出勤をしなくなった。
「残業や休日出勤していいんだよ? 仕事忙しいんでしょ?」
って言ったら、伸ちゃんは優しく微笑んだ。
あの夜以降― 2人で泣いたあの夜から、伸ちゃんの涙は見ていない。
でも、あれから伸ちゃんは、私を抱きしめて眠るようになった。
伸ちゃんの胸は昔と変わらず、広くて、あたたかい。