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『家族へ宛てた手紙』
【家族 その他小説】

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『家族へ宛てた手紙』-3

 『     大好きな 伸ちゃんへ

       何から書こうか・・・・伸ちゃんへは伝えたい事たくさんある。
       まず、最初に・・・
       私をお嫁さんにしてくれて ありがとう。
       私は伸ちゃんのおかげで、すごく幸せでした。
       たくさんケンカもしたね。 でも、そんなこと忘れるくらい、楽しい事たくさんあったね。
       2人のかわいい子供が生まれたのも、伸ちゃんのおかげ。
       本当に感謝しています。

       付き合ってた頃、私は伸ちゃんに約束したよね。
       “伸ちゃんより先に死なない”って。
       ごめん、約束守れなかったね。
       2人で一緒に年をとって、伸ちゃんの手を握って、伸ちゃんを看取って、
       私も後を追うように死んで、2人で一緒のお墓に入る予定だったのに・・・

       こんなに早く、みんなをおいていくなんて・・・
       どうして私なんだろう。
       どうして今なんだろう。
       怖いよ、伸ちゃん。
       怖くて、淋しい。
 
       でも、
       でも、たくさん愛してくれてありがとう。
       これからは私の分も、たくさんたくさん心太と陽太を愛してあげてね。
       
       そして、私のこと、忘れないで。

       これから伸ちゃんが誰かを好きになって、また結婚することになっても、
       私のこと、覚えていて。  私のことも、愛していて。

       今まで、本当にありがとう。

       天国で、みんなのこと見守ってるから。

       愛してるよ。    ずっと。

       
       ありがとう。
                                          彩子より    』





 次の日曜日。
 家族4人で霊園へ行った。
 小さなお墓を建てた。
 
 私のおはか・・・

 独りでここに眠るの淋しいだろうな・・・

 鼻の奥がツンとなって、涙が出そうになった。
 「時々は会いに来てね。 私の好きな花、持って。」
 正面のお墓を見たまま、伸ちゃんの手を ぎゅっ って握った。

 「・・・・・・ユリの花、だろ?」
 伸ちゃんも、私の手を ぎゅっ って握った。

 涙がこぼれた。



 夜が来るのが 怖い。
 眠るのが 怖い。

 毎日、目に見えて、弱っていく体。

 電気を消して、目を閉じると、
 もお、二度と目覚めない気がして。


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