その後の淫魔戦記-11
「それこそ心配無用さ。未緒は自分もしっかり参加するつもりだったし、順番の後先程度で嫉妬する程に未熟でもない。それに、僕はまだ精力旺盛な年なんだ。君を先に抱いたからといって、未緒を満足させられないなんて間抜けな事態にはならないよ……ただ、君と少し話をしたかったから気絶させただけで、ね」
直人はゆっくりと、腰を使い始めた。
「ふっ……!」
眉間に皺を寄せた有月は、鋭く息を吐く。
「当主……そなたっ……あっ、ああっ!」
何か言いかけた有月だが、直人から送り込まれる快感に言葉が途切れた。
「有月……せめて、この一時だけは……」
万感の思いを籠めて、二人は見つめ合う。
遥かな昔……開祖との出会いと別れを、二人共記憶しているのだ。
「当主よ……それは、そなた自身が経験している事ではない」
有月は、悲しげな微笑みを浮かべる。
「だが……その心遣い、痛み入る。感謝するぞ」
かつて人間に心惹かれた妖しは、目を閉じた。
話すために動きを止めていた直人は、再び腰を使い始める。
体に支えがなく、まるで空に浮いているような感覚。
足や背を突っ張るべき場所がないために体の動かし方が分からず、思うように身動きできなかった未緒とは違い、直人はこの空間をよく知っていた。
だからこそ、遠慮なく有月を追い詰める事ができる。
「は、あぅ……!あっ、あっ、あはあっ!」
背筋を弓なりに反らせ、有月は激しく喘いだ。
力強い動きに翻弄され、全てを直人に預けた反応しかできない。
「ん、おふ……おおっ、あぅうああっ!」
「きっ……有月っ……!」
名を呼びながら、直人の動きは激しくなる。
そして一声呻くと、急に腰を止めた。
放出を体で受け止めた有月は、満足げに喉を鳴らす。
「有月……」
直人は、有月の体を優しく抱擁した。
「おっと」
しばらくしてから直人は有月と離れ、再び手を振る。
すぐに、未緒が目覚めた。
「あ……?」
「今まで気絶してたんだよ」
状況が分からずうろたえる未緒へ、直人はそう説明する。
嘘ではないが真実でもない説明は、妻の前で誰かを抱いた気まずさから来ると思われた。
言ってから直人は、未緒の背後に回る。
「有月と、もう少し親しくなれるかな?」
その言葉に、未緒はきょとんとした顔をした。
「分かってるだろ?君はほぼ普通の人間になったけれど、まだ魔力を扱える……その気になれば、生やせるんだよ」
夫が言わんとする事に気付き、未緒は鋭く息を飲む。
「でも……!」
「頼むよ。有月を眠らせるためなんだ」
なだめる口調を聞き、未緒は下唇を噛んだ。
「……分かったわ」
ため息混じりにそう言うと、未緒は下腹部へ指を滑らせる。
「…… ……」
それからぶつぶつと、口の中で呪文を唱え始めた。
ずる……ずるる……
「!」
夫婦のやり取りを静観していた有月が、息を飲む。
ふっくらとした土手から赤黒い肉棒が生えてくるのだから、注目しない方がおかしい。
やがて生えたそれは玉袋がなく、肉棒のみが存在していた。
「これであなたのお相手ができるわ、有月さん」
未緒の声で、有月は我に返る。
「あ、ああ……そのようじゃな」
「それじゃ……きゃあっ!?」
生えたてのそれをいきなり掴まれ、未緒は悲鳴を上げた。
「な、直人!?」
うなだれた肉棒を擦りながら、直人は囁く。
「まずは君の準備をしないとね、未緒」
「あ……っ!」
慣れない感覚のせいか、未緒はすぐにおとなしくなった。
今は同じような器官を持つ者として何をどうすれば気持ちいいのかだいたい理解できる直人は、妻の体のあちこちに唇を這わせながら、技巧を凝らして扱き続ける。