恥ずかしがりやのあなたとわたし-2
別に男は嫌いではないのだ。もう少し言うと由紀は好きなのかもしれない。
ただどうしても目の前にいると意識してしまうのだ。
お弁当のおかずで作られた笑みは一組の男女によりため息に変わっていた。
由紀は自分で言うのもどうかと思うが容姿には自信があった。
現にナンパされたことも数回あるがその時も“ノリの悪い女”と見られ、早々に諦められてしまうのである。
授業も終わり、帰り道、駅についた頃には大分日が傾いていた。
由紀がいつも降りる駅はひどくローカルな駅で人が少なく、今日も由紀一人しか降りなかった。
日が暮れる前に早く家に帰ろうと思い、改札を抜けようとした。
「あれ?定期がない・・・」
いつも使っている定期がないのだ。駅員さんに聞こうにもローカルな為か一人もいない。
携帯の電池も切れ、どうしたものかと無人の駅でしばらく途方に暮れていると電車がやって来た。
開いた扉から一人のお世辞にもカッコいいとは言えない男子高校生が降りてくる。
珍しいなぁと思って見ているとこちらに向かって歩いてくる。
「あの・・・これ、もしかして君の?」
そういって男子高校生が定期を片手に聞いてきた。