reality ability‐第2話‐北の町、white town‐-7
〈ブオォン!ギィン!〉
「水よ!」
〈ブン!ギィン!〉
「水の矢となりて、敵を貫きたまえ!」
〈ヒュン!ギィン!‥‥ヒュン!ヒュヒュン!バシャ!バシャン!〉
「ぐふっ!‥‥まだです!‥‥」
結は槍の攻撃を防いでいたので、結の周りに出来た水の矢を避ける事は出来なかった。いや、何故当たったのだろうか?
そして、当たった事により二人に少し間合いが出来た。すると、光が喋る。
「どうしたの?“禁断詠唱”を唱えたのに当たってしまうなんて?」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥。あ!‥まさか、不完全の“禁断詠唱”かしら?」
「‥‥!!‥‥」
「だとすれば、素早くなっただけのようね?」
「‥‥くっ!まだ終わってません!‥‥」
「図星のようね。‥‥その程度の詠唱だけで、性格が変わってしまうなんて。‥‥“禁断詠唱”とは一体、何なの?」
「‥‥知りません!そんな事‥‥」
「まぁ、いいわ。次は死ぬ気で来なさい?やられるわよ?」
「‥‥言われなくとも!‥‥」
〈シュン!‥‥ヒュン!!‥ブン!ギィン!ブゥン!ギィン!ヒュン!ギィィン!‥‥〉
結は更に速くなる。だが、光はそれをも躱す。避ける事が余裕なのか、直ぐ様反撃にする。しかし、結も難なく受け止める。
「これはどうかしら?‥‥水と風よ!‥‥」
「‥‥させません!‥‥」
〈ヒュン!ギィン!〉
光はまた詠唱し始めようとすると、結はやられまいと当然、邪魔した。
「っ!簡単にはいかないわね。」
「‥‥当たり前です!では、終わりにしましょう!この一撃で死へと!!‥‥」
「来なさい!返り討ちにしてあげるから!」
「「はあぁぁぁぁぁぁ‥‥!!」」
二人は手に力を込める。どうやら、これが最後の一手らしい。雪解け水が木の葉から地に落ちる。その瞬間、二人当時に動く。少しばかり、光が遅かった‥‥
〈〈ヒュン!!〉〉
だが、二人はほとんど当時に振り切った‥‥
‐一方、町の奥‐
「ふっ。‥‥こんなもんか。」
町の奥へと走っていた誠慈が立ち止まり言う。誠慈を追っていた祐も止まる。そして、誠慈の言葉の意味を確かめるため、問い喋る。
「何が?」
「距離だ。これで対等に、いや、俺が有利になるって言っただけだ。」
「ふん!意気がるなよ?所詮、覚醒しただけ。何が変わると言うんだ?その二刀流も即席だろ。」
「ふっ、なめるなよ?」
誠慈は先ほど同様な構え型になった。右手を前に、左手を左横にという不思議な構えだった。
そして、一番不思議だったのが右手に持っている刀だった。何故なら、刃がボロボロでもう切れなそうな程度なのに、誠慈の利き腕である右手で持っていたから。