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かつて純子かく語りき
【学園物 官能小説】

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かつてタキタかく語りき3-7

「ああああああ!」
「はぁあっ」
一際高い声を上げて、ジュンの四肢が弛緩する。僕もぐったりと彼女の上に体を預けた。まだジュンの中はひくひくと蠢いている。
お互いの息が静まるまで待つ、幸せな一時。
「気持ち良かったですか?お嬢様」
まだ肩で息をするジュンを抱き締めながら、耳元で囁いた。彼女はしばし瞬きを繰り返してから、面白くなさそうにぼそっと呟いた。
「デーモンタキタ」
「何ですか、それ」
悪魔タキタから昇格したのか?それは。
ずるりと彼女から自身を抜き取ると、ジュンは目を細めた。
「んんう〜……」
僕が後始末をしていると、ジュンが僕にわざと聞こえるように独りごちた。
「今日は、私の負け……カモなーっと」
彼女から見えないことを確かめてから、僕は満面の笑みを浮かべた。
かわいィ。
この意地っ張りは、筋金入りだ。
事後処理を終え、彼女を布団ごと抱き寄せる。絡まった黒髪に手櫛を通してやると、ジュンは僕に体を預けてから、ごろごろと喉を鳴らした。
「さあて。今宵の晩餐はいかがいたしますか?」
聞かずと知れたことではあるが。
「親子丼!!」
「クリスマス・スペシャル!!」



「あ〜、食った食った」
ジュンがたらふく食べたお腹をぽんぽんと叩いた。揃いの湯呑みに、抹茶入り玄米茶をいれてやる。
「クリスマスなのに……、ムードの無い僕ん家ですみませんね」
ずず、とお茶を一啜り。
「オマエの親子丼は絶品だぞ!今日は地鶏にユーセー卵だったしな」
満足そうな笑顔を見せた彼女は、ネギもンマかったと付け加えた。
猫舌な僕は、まだ水面をふうふうしている。
「ハジメテのクリスマス、だな」
ぽつりと言ってから俯く。よっぽど恥ずかしいらしい。
僕しかいないんだから、照れる相手もいるまいに。
「メリークリスマス」
彼女のふにふにのほっぺたに指を沈めると、ジュンはふにゃあと笑った。
「オメデト」
そう言うなり立ち上がり、鞄の中から何かを取り出してきた。
「はい」
「ん?」
湯呑みのそばに、小さな箱が置かれた。かわいらしいリボンに包まれている。
ジュンはコタツに足を入れながら、ぶっきらぼうに答えた。
「プレゼント」
ああ、そうか。
一人合点がいった僕は、ジャケットのポケットから、彼女のと同じくらいの小さな箱をジュンの前に差し出した。
「プレゼント」
ふふ、と二人で笑い合う。お互いに「せぇの」と言ってから、リボンを解いた。
「あ」
彼女より先に、僕が声をあげてしまった。
だって、まさかこんなことになるとは。
「どうやって……?」
2つの小さな箱には、それぞれ銀色とピンクゴールドのリングがちょこんと座っていた。
彼女は嬉しそうに、にんまりとした。
「オンナの勘」
僕は銀色。
あなたはピンクゴールド。
揃って、右手の薬指に飾る。ジュンは指を空にかざしては、ころころ笑った。僕も、なんだか慣れない感触に照れてしまっていた。でも、心がほんのり温かくなってきて。
「好き、ですよ」
気持ちがそのまま声になる。
ジュンはまっすぐこちらを見つめてきた。
「私も。キミが好き」
両手でぎゅうと抱きしめて、頭をぽんぽん撫でてやる。ジュンは満足気に喉を鳴らした。



まだ不似合いな感じがするこの指輪も、いつかは体の一部のようになるだろう。
きらきら光る約束が、ずっと輝いていられるように。あなたと一緒に、歩いていこう。

メリークリスマス。


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