「お母さん…〜冬香視点〜」-4
「どうしたの?まだしばらくは街いるんでしょ?そんなに大変なの?」
「ううんっそんな訳じゃないんだけど」
理由はもちろん言えなかった。
でも、最後に春美に会いたかった。
「ごめんっそうゆう事だからっ」
「あっ冬香」
あまりいると決意が揺らいでしまいそうで……
すぐ席を立ってしまった。
ごめんね春美……
携帯に着信があったが、出れなかった。
出たくなかった。
「いざ!警察へ!」
空元気で自分を奮い立たせ、隣の市の警察署まで来た。
「あっあのぉ〜」
「はい、どうしました?」
どっどうしよう……
まさか私、人殺しちゃったんですぅ。
とか言うのか?
なっなんて言ったら……
受付けに来た途端、頭が真っ白になってしまった。
『でなあ………榊(さかき)さんのお婆ちゃんが病院にもヘルパーも断ったから調査してくれって!大場!今あの街の近くだろ?
ちょっと行ってくれんか?』
え?榊って家の事?
奥の偉そうなおじさんが電話で誰かと話していた。
スピーカーにしていたので相手の会話も聞こえる……
『元気になったって病院に連絡してあるって?怪しいねぇ……はいはい。じゃあちょっと行ってきますか』『あ、お前が良く行く喫茶店の娘さん。榊さんの同級生らしいぞ、なんか聞けるかもしれんからそこにも寄ってみてくれ。』
『春美ちゃん?あぁそうなの?それは好都合だねぇ』
なっ何?
春美?春美の知り合い?
私の計画が音を立てて崩れた……
春美にばれちゃう!
「あの、用件は?」
「ごっごめんなさいっ」
私は慌てて警察署を出た。急いで行けば間に合うかも……
どうやら母は病院やらに連絡したらしい。
それが怪しまれてるって事は母が怪しまれてるって事だ。
「タクシー」
電車じゃ間に合わない。
私はタクシーを拾い、春美の喫茶店へ向かってもらう……
「春美!いる?」
勢いよくドアを開け周りを見渡す。
「冬香ちゃん……いらっしゃい……は、春美は出掛けたよ」
遅かったか……
「おじさんありがとう!」
多分家に向かったんだろう。
急がなきゃ……