「お母さん…〜冬香視点〜」-2
「お婆ちゃん大丈夫?」
「堪忍や……」
「冬香だよ?わかる?」
「悪霊だぁ…あの人は悪霊だよ!娘っ子。逃げた方がいい」
「お婆ちゃん冬香の事わからないの?」
「あぁ…悪霊だぁ」
私の事もどうやら解らないみたい。
これは後遺症のせい?
それとも………
「ただいま〜」
「あぁ敏之が帰ってきてくれたよ」
「お父さんは解るの?」
「敏之〜」
「おや、母さんまたこんなに部屋汚して……って冬香か?」
「お父さんただいま!」
「大人になったな〜」
「うん!まぁね!それよりお母さん…大丈夫?」
「あっあぁ母さんな……実は………」
「お夕飯出来たわよ」
「おったっただいま」
「あらあなた……今日はめずらしく早いのね」
「冬香が帰ってくる日だろ?残業断ったんだ……」
「ふぅん」
なっなんだろうこの重い空気は………
私がいない間に一体何があったんだろう。
「いいから早くみんな食べちゃって下さいな」
「はいはーい!楽しみだなぁ久々の母の味!」
なぜこんなに帰ってきたばかりの私が、気を遣わなきゃならないんだろう……
帰ってきて早々、面をくらったけどそれから数日は平和に時が流れた。
私は暇な時気分転換に春美と出掛ける様になり、快く付き合ってくれる彼女に感謝していた。
「じゃあね〜冬香!また!」
「うん!ばいばい!」
いつもの様に家に帰ったのだけどこの日は何かが違っていた……
「あ!冬香!おかえりなさぁい」
「ただいま〜」
いつも通りの母の挨拶。
でも………何かが変。
そうだ。静かすぎる。
あれからお婆ちゃんへの暴力は一切しなくなった母だが、帰るとお婆ちゃんはいつも一人言を言っている……今日はそれが聞こえないんだ。
「お母さん、お婆ちゃんは?」
「あぁ押し入れよ」
押し入れ?寝てるのか?
ベットはあるのに………
まさか新しいいじめを開発してしまったのか、と不安になる………
「おばーちゃ……」
なっ何?
なにこれ……
「おかっさ……なにこれ」「お婆ちゃんたらね、悪霊退散〜なんて言いながら自分の排泄物を私に投げるの。頭きちゃったから、ちょっと静かにしてもらってるのよ」
「静かにってもう……これ、死ん……」
「冬香、お婆ちゃんのおむつとか布団とか……今日の夜捨ててきてくれる?」
「なっなんで?」
「いいから……」
何も言えなかった。
あまりにも母が恐ろしくて…
私は従うしかなかった。