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「お母さん…」
【サイコ その他小説】

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「お母さん…〜冬香視点〜」-1

何年ぶりだろう……
あの街に帰るのは……

「冬香(とうか)!久しぶり!」
「春美(はるみ)〜」

数年ぶりに見る春美。
昔のやわらかい雰囲気はそのままで、本当に帰ってきたと実感させてくれる……
「何年ぶり?冬香が二十歳の時に行ったから…もう四年になるんだぁ」
「歳とったねーお互い!」「減らず口は変わって無いね〜」

昔のままのやりとり…
本当に懐かしい。

私は家の経済的理由で二十歳の時に東京に就職した。東京は毎日が流れる様な速さで、たまに帰る余裕さえ無かった。

そんな中、母から連絡が入った。
祖母が脳溢血で倒れ、一命はとりとめたものの後遺症が残るからしばらくこっちで暮らせないかと……

私は仕事を半分辞めるつもりで一年の休みをもらった。
多分近いうち上司から連絡が来るだろう…

「ね、そこの茶店で軽くご飯食べない?」
「え?あ、うん!そ〜しよ〜私長旅でお腹ぺこぺこ!」

久しぶりの春美との一時に本当に癒された。
お互いの近況などを話し合った後、帰ったばかりなのでまた改めてという事で私達は家路についた……


電話での母は疲れきった感じで、駅にも迎えにこれないというくらいだ。
小さい頃から優しくて、高校卒業後はお金無いのに無理にでも大学にいかせてくれようとしたっけ……だからこれからは私が母を支えてあげよう!

「ただいまぁ…………お母さん?」
『やめてっていってるでしょ』
『堪忍や堪忍……』

遠くから声がする……
居間かな?

「お母さんただい……」
「いつもいつもそんな事して!トイレくらい自分でいきなさいよ!」
「ちょっと!何やってるのよ!お母さん!」

お母さんがお婆ちゃんを殴っているのを発見した私はすぐに止めに入った。

「あぁ……冬香おかえり……だって、ひどいのよぉ?お婆ちゃん。毎日毎日おもらしして……」
「おかぁ…さん?」

久しぶりに見た母は目を疑うほどに変わっていた。
昔の元気で優しい母ではなく、目の焦点も定まっていないように見える……

「ほら、冬香に恥ずかしい顔見せないで下さいな」
「堪忍や……」
「お母さんもしっかりして!私、ここ片付けておくから」
「冬香も…お母さんが悪いって言うの?」

理由は解らないがなぜかこの時、言い知れぬ雰囲気を感じとって私は母の機嫌を損ねないように振る舞う事にする。

「おっお母さんの手料理久々に食べたいな!お婆ちゃんは久々の挨拶ついでにさ。」
「あら?そう?じゃあお母さんすぐ作っちゃうから」
母は上機嫌で台所に向かったみたいだ……


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