チキンのススメ!-13
(やっぱオレも、衣胡ちゃんも、臆病なんだな…)
ただ、それが力になる時もある…か
考えている間に、公園についた
もう、真っ暗だ
彼女の姿は見当たらない
(帰っちゃったのか?)
オレは、肝心な時に逃げ出した事に後悔しながら、
公園の遊具の一つに何気なく座った
それは赤色の、ドーム状の遊具で、子供達が入れるように…所々穴があいている
とりあえずてっぺんに登って、夜空を見る
(綺麗な月…だな)
夜空には白っぽく輝く月
(なんか…)
彼女の様だと思った
月はどこまでも月
月は藍色の夜空の中にあって白く光ってて…
彼女にも人並に悩みもあるし、人間としての汚い感情もあるんだろうけど
それでも彼女はどこまでも彼女で、どこか純粋で…
優しい、人付き合いに臆病な女の子だった
だから彼女のイメージは月だと思った
(マジで帰っちゃったのかなぁ…)
何か彼女の事考えてたら
無性に寂しくなってきた…
―ひっ…ぅ
声が聞こえた
こぼれたような小さな声…
小さな声なのに…
悲鳴に聞こえた
(どこだ?)
辺りを見渡す…やっぱり
人の気配は無い
いや、あった
(もしかして…下?)
このドーム状の遊具から声は聞こえてくる
とりあえず覗いてみる
(ああ…やっぱり)
居た…普通に居た