チキンのススメ!-10
彼女はくれてたから…
オレに、ヒントを
そして、答えを見つけたのに…
なのになんで―…オレは、こんなに弱いんだ?
彼女の叫びに大してオレは、最低な事を言った。
自分でも信じられない程、卑怯な言葉
『ごめん、オレ…親いないから、そういうのはよく分からない』
オレには両親がいない
父親が病死して
次に母親が事故死した
それを言うのは、彼女にそれ以上の言葉を封じる事と同じだった
『ぁ…』
彼女は急に冷静になって、
気まずそうに声を漏らす
『ごめんなさい…糸さんにする話じゃ、なかった…』
違う…関係ない、
親がいないとか…関係ないのに…
『いやいや、オレが勝手に聞いたんだし、でも…
オレには少し分からなかったっていうだけで…オレこそごめんな!』
そうして、オレは今…家に逃げかえってきた訳だ
(オレはどこのピエロだ?いや、ただのチキンなのか?)
で、とりあえず
ブルースハープをふいている。
これと言って得意なものがないオレが、唯一得意とする事だ
(彼女は…ようは、自分に自信がなさすぎるのかもな…)
適当に何曲か弾いて…オレは床に寝転がった
天井を見つめて、物思いに耽る
(雨乃さんも…いや、衣胡ちゃんも…こんな気持ちだったのかな?ずっと…)
オレにとって彼女は、家族のような存在だった。
母親が死んで、悲しみにくれるオレに、彼女は言ってくれたんだ
〈私達を家族だと思って…頼ってきて下さい、〉
彼女も、彼女の両親も…
オレを気にしてくれていた…
オレはそれが嬉しかった
そして彼女はオレに大切なモノをくれていた