「お母さん…〜春美視点〜」-5
「おば………さん？」
「あれぇもう来ちゃったの？」
「とぅ………か？」
目の前には大きな包丁を手にした冬香がいた。
「だめだよぉ春美。言われた通りにしなきゃ。」
「全部………きみがやったのか？」
「そうだよぉだってお母さんもお父さんもだらしないんだもん。」
「冬香っなんでっ？」
うまく息が出来ない……
現実なのか夢なのかさえ解らなかった。
「お父さんは自首するとか言いだすしね。焦って私、殺しちゃったの。そしたらお母さんも止めに入ってきたから、目障りだし殺しちゃった」
「なんて事を……」
「最後にこの凶器だけでも隠したかったけどなぁ……春美、来るの早いんだもん…まぁいっか♪」
「とりあえずそれを捨てるんだ冬香くん。」
大場さんが慎重に詰め寄る……
「やぁだ。だって……くくっはははっあはははははははははは」
「とぅか……」
「私も死ぬから」
ザクッ
ザクッ
「やめろ！やめるんだ」
「冬香！いやあぁぁぁ」
冬香は自分の喉元を刺して………
私は目の前が真っ暗になった。
冬香……どうしてこんなになっちゃったの？
またどっか遊びに行こうよ。
ねぇ？冬香…………
カランコローン
「いらっしゃい」
「おやっさんお久しぶりです。春美ちゃんは大丈夫ですか？」
「大場さん……ショックでまだ入院してるんですよ」「そうですか。いや実はね。あれからうちのもんが現場を調べたんでさぁ……」「いや、もうあの事件の事は……」
「聞いといてほしいんですわ。………調べた結果。意外な事がわかってね。」
「はぁ」
「冬香くんの凶器には指紋が二つ付いてたんですよ。そして、冬香さんの服には母親さんの血しか付いていなかった。」
「どうゆう事ですか？」
「もう一つの指紋……母親さんのでね。母親さんの服には親父さんのも、死んだ婆さまには母親さんの手跡で首を締めた跡があったんですわ」
「え？じゃあ…」
「どうゆう訳かしらんが冬香ちゃんは母親を殺し、その罪を全て隠そうとしたみたいですな。まぁ私達が早く行きすぎたのが計算外みたいだったけど」
「なんででしょう」
「親子愛なんかなんだかはわかりませんがね。まぁこの事を春美ちゃんに伝えるかわ任せますわ」
「親子愛ってのは………深いですね」
「ははっ皮肉ですな………結局皆死んでちゃ意味が無いのに………」
「全く………そうですね…………」