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僕とお姉様
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僕とお姉様〜急なお別れ〜-2

「お前、母さんと連絡取ってたんだな」
「…」

そう、僕は父さんに内緒で年に数回母さんと会っていた。黙っていた理由は単純に反対されるのが嫌だったからで特に深い意味はない。

「だったら母さんが再婚する話も聞いてるな?」
「…聞いてる」
「強と暮らしたいって言ってるのは?」
「は?」
「それは聞いてないか」

突然降って湧いた話に言葉が出ない。
一緒に暮らす?
今更?僕と母さんが…

「駄目!あたしは反対!!」

声をあげたのはひばりちゃんだった。

「今までずっとお父さんに強君任せてたくせに何で今になってそんな事言うの!?あたしは嫌だ!」
「でも強と母さんは親子だから」
「今はあたしが強君のお母さんだもん!!お父さんは何で怒らないの!?強君がいなくなってもいいの!?」
「そうじゃない!」
「そうじゃん!お父さんはいつも自分の意見一つも言わないでズルいっ」

目の前で言い合う2人。どっちも僕の事を考えてくれてるのは分かるんだけど、僕を理由に争われるのは嫌だ。
やめさせる為に力の限りテーブルを叩いた。
あまり力技の行動をしない僕のそれは頭に血が上った2人を簡単に黙らせることができた。

「あのさぁ、気持ちは分かったから。喧嘩はやめてくれない?」

じんじんと痺れる手のひらをギュッと握りしめる。2人は黙ってお互いを見た。

「今から母さんに会ってくる」
「えっ!?」
「それで母さんに直接聞くよ。よく話が見えないし」
「強…」
「だから喧嘩すんなよ」

うんと伸びをして、いつも通りクール気取って席を立った。こんな時、隣にお姉様がいてくれたら僕はどんな態度をとっていただろう。
多分もっと慌てていた。
素直に感情が出せる分、きっと今より楽チンだった筈だ。


家を出てまず母さんに電話をした。僕からの着信を予想してたのか、ワンコールで通話になる。

『もしもし、強!?』
「うん、久し振り」
『久し振り』
「父さんから聞いたよ」

早速本題を切り出した。

『そう。ねぇ、今から会える?』
「そのつもり。どこ行けばいい?」
『いつものコンビニで待ってて。すぐ行くから』
「ん」

どこか弾んだ様な声なのは1ヶ月振りに会うからかな。
待ち合わせ場所に現れた母さんは僕を見つけると

「つーよしーっ」

恥ずかしいくらい大きな声で名前を呼んで立ち読みをしていた僕に近付いてきた。無駄な元気と40歳目前には見えない可愛らしい容姿のおかげで一緒にいるとよく姉弟や恋人に間違えられる、そんな母親。

「声でけぇよ」

眉をひそめる僕に構わず当たり前の様に腕を組んで車に向かって歩き出す。

「で?何、一緒に暮らしたいって」
「そーゆう事よ」
「急だし、大体再婚するのにどう考えても俺は邪魔だろ」
「あー、違うの。正確には再婚するまで」
「…って?」
「彼が半年後にアメリカに転勤するの。しばらく帰れなくなるからその間だけでもって話」

…そーゆう事ね。期間限定か。何か妙に納得。
基本的に自由でマイペースな母さんは、家庭に入って毎日きっちり家事をこなすなんて事はしないしできない。その辺が父さんと離婚した原因だろうな。


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