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パレット 『初恋を貴方に』
【ボーイズ 恋愛小説】

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パレット 『夏でも小春日和』-2

病気だな。もう。
昌仁といると苦しくて、一緒にいなくても苦しい。
どうしたらいいんだよ。

それに追い撃ちをかけるように。

帰り道。俺は昌仁と会わないようにしながら帰った。
でも、見てしまった。
自転車に乗りながら慎重に帰る、帰り道。
何処かから高い笑い声と低い笑い声が聞こえてきた。
「?」
速度を緩めてゆっくりと道の端を行く。
細い住宅街の道が十字路のところで、私服の女の人と制服を着た――昌仁?
昌仁が自転車を押しながら楽しそうに、本当に楽しそうに女の人と話しながら通り過ぎていった。――――誰。
誰なんだ。あの人。
私服を着ていたけど見た限り俺と同い年くらいに見えた。笑顔が可愛かったな。
自転車のペダルをこいで。
溢れそうになる液体を抑えようとした。


目覚めが悪かった。
夢見が悪かった。
気分が朝から悪かった。頭痛い。お腹痛い。気持ち悪い。
それは学校に行きたくない言い訳にしかすぎない。

「おい?晶、どーしたよ。ここら辺の空気がダークだぜ?」
脳天気だねぇ。カステラ屋さん。
うずくまる俺に白匠が声を掛けてきた。人の気も知らないで。
「……なんか朝から気分悪くてさ」
一体誰のせいだ。誰の…「もしかして、昌仁にフラれたか?」
う゛
違うけど、鋭い。
そんな気分かもしれない。
「あー頭いてー。俺、保健室行くかなぁ」
重い頭と躰を立ち上がらせて、ヨロヨロと保健室へ行く。
「あ、なぁ。おいっ。どーなんだよ。――ったく。」
よろめき倒れそうになって俺は白匠に支えられた。
「ほら、俺がついてってやるから。お前一人だと、危なっかしーからな」たまにはいい事言うな、親友。
あはっ、なんて都合がいい言葉なんだろう。親友ってだけで、共感者だ。苦しみも悲しみも喜びも全部判りあえる。結局はお互いの為に利用しあっているくせに。それでも、楽しいし一緒にいて初めて出来ることもあったりして。
この関係は辞められない。
だけど、それ以上の関係になりたい時ってあるじゃない?
「ああ、ありがとう。しっかり送ってくれよな」「しっかり送っていったら晶と昌仁の関係を是非新聞に!!」
「ぜってぇ嫌だ」
「少しだけ…」
「イヤだ」
何もないんだって。
つまらないくらいに。

保健室のベッドは薬品臭くて、俺はそれが好きだったりする。
深く息を吸って頭から余計な思想を追い払う。
親友に彼女がいた。
それだけだろ。
諦めろ。川瀬 晶。男だろ。


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