視線の先には-2
‐そして三日後‐
その日は天気予報の通り雨降り。
私は早めに家を出た。
あれ以来私は毎日の様に公園に行き、また会えないだろうか。その事ばかり考えていた。
しかし、いつも公園には彼の姿はなかった。
「今日、会えたら…」
その事ばかりを想い続けながら、公園に向かった。
公園に着き、辺りを見渡した。
ふと、公園の中央に立っている人がいて…
達也くんだった。
だけど…
彼の体は透けていて。
「達也くん…」
「ごめん…」
彼に触れようとする。でもただ空気を掴むだけだった。
「なんで…なんで目の前にいるのに…なんで…」
彼は哀しそうに微笑む。
「俺は、この世にもう存在してはいけないから…」
ああそうかと言う気持ちと、どうして?という想いが私の中に広がり心を染めていく。
わかっていたのかもしれない。
出会ったときの彼の雰囲気から、この世の人じゃないのかと。
「猫…」
「あの猫も一緒。俺と同じ」
「なんで…私、達也くんに触れたい。触れたいよ…」
私はその場にしゃがんでしまった
他人からみると私は一人でいるようにみえるのだろうか?
「……」
達也くんは寂しそうに笑っていた。
「ごめん。優里を悲しませたかった訳じゃないんだ…一度でいいから優里と話したかった。いつも一生懸命に走って学校行ってる優里みててさ。毎日見ているうちに…ひかれていって…俺、優里が好きだった」
そして達也くんは私の前でしゃがんだ。
少し透けて、向こうの木が見える。
「困らせてごめん」
そう言って私の頭を撫でた。
そして達也くんは立ち上がって、さらに透明になって光に包まれていた…
「いかないでっ」
私は彼へとかけよった
「一緒にいたいっ離れたくない…。」
「ごめん」
いつの間にか雨はあがっていた。
「俺の分も幸福になれよ」
そして達也くんは笑う。
「昔は、幽霊とか信じてなかったけどいまならなんでも信じれる。だから生まれ変わったら、また優里に会いたい。」
「会おうよ。会えるよ」
「そうだといいね」
「約束だよっ」
彼は笑う。そして世界に溶けていった…
************
彼が消えた空には虹がかかっていた。
太陽の光がきらきら地上を照らす。
それはまるで、彼のすべてを映し出したような…。きっと忘れることがない虹だと思った。
そして、いつまでも私の心の中では彼、達也くんがずっと見つめて微笑んでくれている。
『虹は神様の約束のしるし』
そんな言葉が浮かんだ気がした―…
Fin