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視線の先には
【その他 恋愛小説】

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視線の先には-1

何故私は素直になれないのだろう。
本当は好きで好きでたまならいのに…
『ぁ…』
ほら…私はまたあの優しい視線から目を剃らしてしまった。
そして再び貴方を見る私……
貴方はまた何も無かったかの様に再び視線を戻した…
その優しい目は


……ズルイょ?


*********
優里は真っ先に―チラッ…―と達也の元へ目を向けた。
優里は今…生まれて初めて恋をしてる。
優里がある事をきっかけに達也に恋をしてしまった…。
あれは確か6月…通り雨が降ったの日の出来事。

*******
その日の放課後。
優里は学校が終わり、家に帰ろうとしていたが、突然雨が降りはじめてしまい私は外に出るのに戸惑っていた。
今日は傘を持っていなかったからである。
しかたがなく、私は諦めて雨の中へと駆け出した。
いつもはあまりつかわない近道を使おうと私は脇道に入り小さな公園を横切ろうとした。
すると、公園で誰かがしゃがみこんでいた。

『どうしたんだろ…』

運動着を着たその人に私は静かに近づいた。
私より年上の男の人が猫とじゃれあっていたのである。
『野良猫なの…かな?』
私は無意識のうちにその人に近づこうとしていた。

つぎの瞬間、彼が振り返ってこちらを向き目があった。

「猫好き?」

自分に向けられた彼の疑問に私は驚いた。
「好き…です」
私が答えると彼は猫の頭をなでた。
「でも、こいつを飼ってやることはできないよね…」
彼は独り言のように言った。
「ごめんなさい…」
「いいって」

私のほうを向いてはニコッとやさしい笑顔をしたあと、しばらく考え込みはじめた。
「名前、聞いていい?あっ俺は達也ね」
彼が再び優しく笑いかける。
「優里…です」
しばらく沈黙が流れた。
その間に雨足も強くなってきた。
彼は突然なにかを思い付いたようで鞄をがさごそと漁り始めた。
私はその間、捨て猫に目をうつした。雨が嫌いなのか、丸まってか細く鳴いている。
こんなに可愛いのに、どうして捨てられてしまったんだろう。
まだ子猫で、このままだと死んでしまうかもしれない。

でも、自分で飼うことはきっと無理。
それなのに可哀相だと思うのは偽善に思えた。
できるなら飼ってあげたい。
でも、なんとなく無理だとはわかる。
ぽつぽつ降り続いている雨で髪の毛も水をおびてきた。

「これ」

彼が折りたたみの傘を私に差し出した。
「でも」
「俺は大丈夫だから使って」
そういって傘を広げて雨から私を守ってくれた。

「ありがとう…」
私は傘を受取り、彼と猫が入るように傘をさした。

「あと一週間あれば飼えるんだけどな…」

彼が独り言のように呟いた。

「何でですか?」
彼は私を見つめて笑った。
「一人暮しするからこっそりと…だけど」
その時心細そうに子猫が鳴いた。
「捨て猫を全部拾って育てるなんて無理だけど、自分に出来る限りはそだててやりたいしさ」

彼は優しい。
今日初めて会ったのに自信をもってそう言える。

「私っ、預かる」
「ずっとは無理だけど…迷惑?」
彼が私の顔を覗き込むと同時に、子猫を持ち上げて抱き締めた。

「よかったなお前っ」
彼の笑顔がすごく優しくて胸が締め付けられる。
そして彼は鞄からタオルを出して猫をくるんだ。

「家まで送るよ」
「たまに見に来ていい?」
彼が笑いながら言った。
「もちろん」
彼は猫をもう一度撫でると私に背中を向けた。
私は無言でその後ろ姿を見つめる。すると再び振り返り
「また、雨の日にくるから」
そしてまた背中を向ける。
雨が恋しい。こんなこと思ったのは初めてだ…

*********
朝、起きると空は快晴で気持ちのいい朝。
ふと私は猫の寝ている方をみた。


するとそこには猫の姿はなかった。
変だなと思いながら私は居間へ行く。
「お母さん、猫しらない?」
すると母は不思議そうに私をみた
「昨日つれてきた猫だよ。こっちにきてないの?」
母は私をまじまじとみた
「寝ぼけてんの?猫なんてうちにはいないわよ。それより早く御飯食べて」
私は促されるままご飯を口に運ぶ。
昨日のあの出来事は夢だったんだろうか。
彼『達也くん』も、私の夢の中の人だったのかな?
雨が降ったら、彼はたしかそう言った。

天気予報を見ると、今日は快晴。
明日は曇り。
明後日は雨だった。

明後日になれば何かわかるのだろうか?


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