ばあちゃん4-3
握っていた手は確実に硬く、冷たくばあちゃんを蝕んでいた。
「身体のほう綺麗にしますので、ご家族の方は一度外に出て待っていてください」
看護婦二三人が入って来て、ベッドを囲む私達にそう言った。
皆が外に出ていく。
私はどうしてもその場から離れられなかった。
離れたくなかった。
姉が私の手を引いた。
握っていたばあちゃんの手がコトッとベッドの上に落下した。
「…あ…あぁぁあ…」
思った。
ばあちゃんはもう動かないいんだ。
死んでしまったんだ。
私達の手の届かない何処かへ逝ってしまったんだ、と。
泣いた。
五歳くらいの子供が初めてペットを亡くした時のように激しく泣いた。
たぶん、今まで生きてきた中で一番泣いた日だった。
あれから時は過ぎた。
ばあちゃん。
私も社会に出る歳になりました。
いつも見守っていてくれてありがとう。
車の運転には気を付けるよ。
ちょっとくらい夜更かししてゲームしてても怒らないでね。
今ハマってるんだ。
ばあちゃん。
会えるならまた会いたいです。
夢でもいいから会いに来て下さい。
ばあちゃん。
気付いてあげれなくてごめんね。
隠していてごめんね。
ばあちゃん。
私、精一杯生きて行くよ。
だからこれからも見守っていて下さい。
ばあちゃん。
ありがとう。
ヾ(・∀・。)