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ツバメ
【大人 恋愛小説】

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ツバメA-1

あれから二週間。
燕はあっさりと専門学校に合格し、予想通り、毎日遊んでいるようだ。
あたし?あたしは今、入社式の真っ直中。
なんかよくわかんない偉そうな人のスピーチがやたら長くてうんざりしています。


第二話
エリート新人(前編)



『やっと終わったー』
椿芽は大きく伸びをしながら腕時計を見る。時刻はちょうど昼時だ。
「みんなでランチ行かない?」
『いいねー』
同じ部署に配属されたOL仲間とさっそくランチに行くことに。
入社式ってすごく不安だったけど、なんだか学校の入学式と同じ気分だ。
会社の近くにある小さなレストランに入り、ランチメニューを注文する。

食事をしている最中、一人が話題をふる。
「そうそう、新入社員代表の男の子見た?」
「見た見た、顔もいいし、仕事できそうよね」
『……』
あたしはうろ覚えである。顔なんてなんとなくしか覚えてません。
「あの人、すごい大学出てるエリート新人らしいわよ」
「やっぱりー?」
「名前はたしか…福岡孝太郎だっけ」
『へえー…』
「あたし、狙ってみようかな」
「えー!あたしたちOLなんか見向きもされないわよー!」
『あはは』
そんな人なら、燕も悔しがるかな。
なんてことを考えていると、突然話題はあたしへ。
「椿芽ちゃんの彼氏はどんな人?」
ボケッとしてる間に、それぞれの恋愛話に発展していたようだ。
『え?んー、顔は悪くないし、すごくいいやつなんだけど、ガキだしバカなんだよね』
「へぇー、でもそんな人って楽しいでしょ?いいと思うなー」
『そおかな…でもありがとう』
じゃあ、あなたの彼氏と取り換えてください、なんて言葉が頭を過ぎったけど、あんなんでもいちおう彼氏だし、ほめられるとなんとなくうれしい。
んー、相変わらず複雑だ。
それにしても、福岡孝太郎か。次はしっかり顔を見てみよう。
会えるかどうかなんてわからないけど。


翌日から勤務開始。
まだ全く職場を把握してないものの、コピーやお茶汲みなど、ベタな作業をこなしていく。
時間は経過し、昼休みを告げるチャイムが鳴ると、職場はザワザワと騒がしくなる。
「椿芽ちゃん、ランチ行こう」
仲間に声をかけられる。
『うん!』
「あ、綾瀬くん」
『はい?』
急いでコピー用紙が積まれたデスクを片付けていると、課長から呼ばれた。
五十くらいの哀愁ただよう課長である。
「会議室であっているミーティングが長引いてるらしくてね。すまんが七人分、お茶を持っていってくれないかな?」
『あ…はい…』
先輩たちはさっさと昼食に出たらしい。
新人にそんなこと無理だとは思ったが、相手は上司である。断れないので仲間に先に行ってもらい、急いでお茶を七人分用意し、器用にお盆に乗せて運ぶ。


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