日々/今日も君は…-1
2月9日(金)
今日も君は遠くの方を見ている。だから私がそれを遮りビー玉をあげると、君は喜んでそれで遊んだ。
「寒く成ったから障子を閉めようか?」
と聞くと、君は首を横に振った。目を離すと又外を眺めるんだろうか?
ビー玉を外に向けて目を近づけて見てる姿を見て、ビー玉にさえ妬けた。
ビー玉を取り上げて着物を半分脱がせ、押し倒して踏み敷くと、君はぼんやりと此方を見た。
「帰りたいか?」
と聞くと、君は首を横に振った。
君は首を横に向け、又外に目をやった。
「綺麗…。」
君が瞳にオレンジの光を溢れさせ言うので、私も障子の方に目をやった。
(……。)
夕焼けが此方を見ていた。映え映えとしたオレンジを中心に、数え切れない色が空を飾り、それらを背から浮かべた障子は、重なった部分とそうで無い部分で表情を変えて部屋を照らしている。畳がそれらの色を受けて染まり…いや全てが染まっていた。君に目を戻すと君だってそうだ。
「肌がオレンジに輝いている。」
君は私の方に向き直り、まじまじと大きな目で見て、
「本当だ。」
と私を指さし笑った。
─夜が来る
私は君を寝かせた後支度をし、ちょっとした稼業をしに出掛けなければならない。