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『最強男女』
【学園物 恋愛小説】

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『最強男女』―第四章―-2

 ――ガチャッ。


 扉が開かれる。
「おっと、客がいたとは。すまない、出直す」
「いや、大丈夫だ。丁度いい所に来てくれたな」
 入ってきた男子生徒に、績は口の端を上げて笑った。





亜弥菜がいない事に焦る斎の顔は、恐ろしいものだった。
「何処にいるんだよ、亜弥菜っ!」
呟き、斎は無事を祈る。
亜弥菜は、男子生徒からよく呼び出しを受ける。その時はいつも斎が近くにいたのだが、今日の斎は教師に用事を頼まれていた為、生憎亜弥菜とは別行動を取っていた。
嫌な考えが浮かんでは消える。


──もう、亜弥菜にあんな思いをさせるわけにはいかないんだ……。


斎はキョロキョロと辺りを見回しながら、廊下を走る。


――ドンッ。


何かにぶつかる。
「いたっ……すいません……」
「急いでるのは分かるが、危ないからちゃんと前を見ろ」
ぶつけた額に手を当てて、斎は頭二つ分程上を見上げる。
短髪の黒髪に黒目をし、長身でスポーツマンのようにがっちりとした体格で、和という言葉が似合う凛々しい美男子がいた。
「茅原斎、だな」
名を呼ばれ、斎は怪訝な顔をした。
「俺は2年、生徒会副会長の稀村楓(まれむらかえで)。会長がお呼びだ。ついて来てくれ」
「悪いけど、今あんなアホと付き合ってる暇はないんで」
「誰か探してるみたいだが、行って見たら、いるかもしれないぞ?」
楓の言葉に、斎は楓に向き直る。
「亜弥菜は、生徒会室にいるんですか?」
「さぁな。俺が見た子で当たってるならいる」
斎は、生徒会室へ向かって走り出したのだった。


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