それでも生きていく-3
「幸っちゃん。いろいろとありがとうね。満もあなたと生きられてきっと幸せだったわ。」
泣き腫らした目でそんなことを言われると
悲しみが増幅されて
涙が込み上げてきた
「私も…幸せでした」
そう答えるのが精一杯だった
――――――
家に帰りつき
死ぬ前に彼の母に手渡された封筒を開けてみた
そこに入っていたのは一枚の短い手紙
これは私の一生の宝物です…
―――――――
『幸へ
俺は今まで何のために生きてるのかとか
全然考えたことなかった
でも幸と出会えてから
たくさん考えた
人の命が誰かにたいする想い出に置き換えられるものなら
俺の命は幸そのものだったよ
幸に出会ってからの日々は
幸のための毎日だった
俺を今まで生かしてくれたこの世界に
幸を今まで守ってくれてきたすべてのものに
俺は今、感謝しています』
―――――――
わたしは死ななかった
死ねなかった
彼の愛したこの世界で
彼の愛してくれたこのすべてのものに囲まれて
生きていこうと思った
彼がいなくて
悲しいし
辛いし
苦しいけど…
生きていけないことはないと思った
だってこの毎日は
彼のための毎日だから…
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