シスコン『第七章』-7
「…悪い千里、浜崎さん頼むわ。」
「…僕よりも…秋冬君のほうが…、」
「今のオレに、そんな余裕ねぇよ。」
優魅はストンと階段に座る。
秋冬と澄はいつの間にかいなくなっていた。
「…浜崎さん。」
「……わかってたのに。」
「…え?」
優魅は両手で顔を覆う。それを千里は立って見ている。
「秋冬君が春夏ちゃんの事好きだって、わかってたのに。あんな貼紙見ても、さらされても否定しない秋冬君見ちゃった。秋冬君、本気だ。本気で春夏ちゃんが好きなんだ。私じゃ…勝てないのかなぁ…。」
千里は何も言えなかった。優魅を元気にする言葉が見つからなかった。
そんな自分に、千里は憤りを感じた。
野次馬も消えて、掲示板の周りは静かになった。A4サイズのプリントがそこに貼られていた。
『春日高校文化祭
―――10/1』
続く