投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

カーテンと机とつぶれた気持ち
【青春 恋愛小説】

カーテンと机とつぶれた気持ちの最初へ カーテンと机とつぶれた気持ち 28 カーテンと机とつぶれた気持ち 30 カーテンと机とつぶれた気持ちの最後へ

ワスレモノ-7

しばらくして落ち着いたのか、彼はベンチにゆっくり腰をおろした。

自分の隣をポンッと叩いて私に座るように促した。





──隣‥‥




──いいのかな‥‥?




少し躊躇いながら彼の隣に座った。



なんだかそれだけて私は嬉しかった。
いつも後ろから背中を見てるだけだけだったから。
こうして隣にいれることが奇跡みたいだった。





それから何を話すわけでもなく、日はどんどん傾き、気付けば空は真っ暗だった。



『‥帰ろう。送るよ。』



そう言って彼は立ち上がり振り返って、手を差し出した。



握られた手から緊張が伝わってしまいそう。


結城君と繋いだときとは全く違う。
足元が覚束ない。
心臓が煩い。
視点が定まらず、呼吸が一定のリズムを乱す。




気が付けば家の前。



二人とも黙ったまま‥‥。

どうしよう。
千葉君は繋いだ手を離す気配はない。
あたしから離すことなんてできっこない。

一人でこの状況をどうすべきか眉間に皺をよせていたら、急に彼が口を開いた。

「もし、自分がどう願っても手に入らないものがあったとして、諦めて前に進んだ途端に、目の前にそれを差し出されたらどうする?」

「へっ‥‥?」

あたしは予期せぬ彼の言葉に首を傾げた。


カーテンと机とつぶれた気持ちの最初へ カーテンと机とつぶれた気持ち 28 カーテンと机とつぶれた気持ち 30 カーテンと机とつぶれた気持ちの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前