Twins-不変--2
沙羅は呼吸を整えた後、いつもの様に精子をタオルで拭きながら
「…おじ様。今日は、おじ様の急なお願いを聞いて差し上げたんですもの。勿論、料金は上げさして頂きますね。」
と、まるで何も無かった様に微笑んで言った。
男はそれを見て
「…お前はほんと。恐ろしい女だよ。さっき私に脚を開いていた女が、今じゃもう違う女の顔をしている。。まぁ、安心しなさい。料金はちゃんといつもの2倍振り込んでおくよ。」
そう言いながら帰り支度を始めた。
─男を玄関まで送る時、いつもの様に沙羅と一緒に俺も見送りに出る。
そして、いつもの様に俺は男に見せ付けんばかりに沙羅にまとわり付く。
「猫が来たか。」
男はそう呟くと、沙羅と俺を見比べながら
「…それにしても、君達は本当によく似ている。双子だと分かっていても、そんな整った顔の双子を目の前にすると、何度見ても驚かされるよ。」
すると沙羅がクスッと笑いながら
「似てる?..おじ様。そんな安っぽい言葉で片付けないで下さいまし。沙羅と綺羅は─」
「沙羅と俺は、たまたま産まれる時に離れてしまっただけ。だから、似てるんじゃなくて、俺と沙羅は同じ人間なんだ。」
俺は沙羅の言葉をさえぎって男に言った。
すると男は苦笑して
「そこまでくると気味が悪いな。..まぁ、沙羅の美貌の理由は、そこにあるのかもしれないが..。」
と言い、沙羅に軽くキスをして帰って行った。
「..あのお客、変な事言うわね?私達が《似てる》だなんて。私達は綺羅が言う様に同じ人間なのに。…それより、綺羅ごめんね?急に《仕事》を入れてしまって。」
「今日は、俺が沙羅を独り占めするはずだったのに..。」
俺は沙羅の長いブロンドの髪の毛に指を絡ませ、拗ねたフリをした。
「ごめんね、綺羅。許して。…ね?」
沙羅は男と居た時とは違って、優しい眼差しで俺の目を見つめながら言った。
「..そんな目するなんて、反則だよ。」
と俺は、言ったと同時に沙羅を抱き上げ、風呂場へ連れて行った。