ツバメ@-3
食器を片付けたあと、ゴロゴロしている燕に声をかける。
『今日が面接なんでしょ?』
「うん、午後三時」
『……勝手に進路変えたのはムカつくけど…頑張ってよね』
あたしがそう言うと、燕はゴロゴロしたまま言った。
「……椿芽」
『なに?』
「俺、本当は遊びたいから専門学校行くわけじゃないんだ」
『………え?』
「………専門学校で資格たくさん取って、いい会社に就職して、椿芽に楽させたいから、進学するんだ」
『………燕』
本当にうれしかった。そんなこと考えてくれてたんだ。
数時間後、燕が面接に行くのを見送る。
『頑張って』
「ありがとう」
めずらしくラブラブな雰囲気。飛び付いてキスでもしてやろうか。
そう思った瞬間、燕は思い出したかのようにしゃべりだした。
「あ、あのさ」
『え?なに?』
「俺、今夜は専門学校の子と合コンだから、報告は明日ね」
今、あたしは悪い夢を見ているのかもしれない。
なにか素晴らしくおかしなことをこいつは言いやがった。
『……今なんて?』
「だから、合コンだから今日は報告なしね」
聞き間違いではなかった。
『………別れてやる』
「え?」
『絶対絶対別れてやる!あんたよりいい男を見つけて!』
「………椿芽にできるかなー?」
『この状況でなに言ってんだ!この天然!こうなったら、あんたなんかフってやるから!覚悟しときなさい!』
「……覚悟しときまーす」
燕は苦笑いすると、振り返り歩いていった。
『………はあ』
こうして、二人の不思議な恋愛はますます加速し始めるのだった。
果たして椿芽はいい男を見つけて、燕を一泡吹かせることができるのか。
というか、別れることができるのか!?